【教員著書】事業創造学部 土岐智賀子先生が執筆に参加した「コロナ危機と欧州福祉レジームの転換」が出版されました

事業創造学部 土岐智賀子先生が執筆に参加した「コロナ危機と欧州福祉レジームの転換」が、昭和堂より出版されました。
土岐先生は、第7章「コロナ危機に揺れるイタリア ──分断・慈悲・友情・連帯・家族の責任」を執筆されています。


<内容紹介>

2020年に始まったコロナ・パンデミック。EUとその加盟国はどのように対応したのか。各加盟国の対策と中長期的な復興戦略は、欧州の福祉レジームに重大な変化をもたらしつつある。EUの戦略、9つの加盟国の社会保障制度の分析を通し、その持続と転換を浮き彫りにする。

 

<土岐先生からのコメント>
この本は、欧州の福祉政策について研究を行っている「EU(欧州)福祉レジーム・市民権研究会」のメンバーによって書かれた4冊めの本になります。ドイツ、フランス、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、ベルギー、イタリア、ハンガリーの社会状況と福祉政策について、それを研究対象としている執筆者が章ごとに分担して一冊の本にまとめています。
博士論文で「イタリアの若者のキャリア形成とソーシャル・ネットワーク」について取り組んだ私が担当しているのはイタリアです。若者の就職難が続くイタリアの状況や、その課題を克服するための社会政策を主なテーマとして、これまで、大学改革、若者の就労支援政策、新たなキャリアと支援のあり方としてのサードセクター等について論じてきました。今回は、現在欧州全体で大きな課題となっているNEET対策としての「若者保障」の動向を整理しています。
他の国の社会状況や社会政策を知ることにより、海外の動向を知るだけでなく、日本の特徴を知ったり、社会課題の克服のためのヒントを得たりすることができると思います。少々とっつきにくい内容かもしれませんが、ぜひ手に取ってみてください。

 

<目次>

序 章 コロナ危機を経てEUは社会的な連邦主義へ向かうのか
──経済・財政ガバナンスと医療・福祉レジームの改革(中村健吾)

第Ⅰ部 コロナ危機下の雇用・家族政策
第1章 雇用・福祉領域におけるフランスのコロナ対応
──マクロン政権は何をしたのか(松原仁美)
第2章 コロナ危機下におけるデンマークの雇用と社会保障
──北欧福祉国家は危機にどのように対応したのか(嶋内 健)
第3章 コロナ危機下におけるハンガリーの雇用・家族政策
──オルバーン政権の家族政策再論(柳原剛司)

第Ⅱ部 コロナ危機下の所得保障制度の役割
第4章 ドイツにおける市民手当導入とコロナ・パンデミック
──所得保障はどう変わるか(嵯峨嘉子)
第5章 オランダにおけるコロナ危機対策と最低生活保障
──パンデミックは福祉国家をどのように変化させたか(廣瀬真理子)
第6章 スウェーデンにおける所得補償と就労支援政策
──普遍的福祉国家制度は市民の暮らしを守るのか(太田美帆)

第Ⅲ部 コロナ危機にともなう福祉の担い手の変容
第7章 コロナ危機に揺れるイタリア
──分断・慈悲・友情・連帯・家族の責任(土岐智賀子)
第8章 コロナ危機とベルギー連邦政府の対応
──分権化のなかでの反貧困・社会的包摂政策(福原宏幸)
第9章 イギリスにおける国家‐市民間関係の変容
──パンデミックはシティズンシップに何をもたらしたか(平野寛弥)


<書籍情報>

「コロナ危機と欧州福祉レジームの転換」
出版社:昭和堂
編者:福原宏幸、中村健吾、柳原剛司
発行日:2023/12/20
A5判 / 306頁
ISBN: 978-4812223017

 

【土岐智賀子先生 略歴】
開志専門職大学 事業創造学部 講師。立命館大学教育開発推進機構講師、明星大学等で非常勤講師歴任。38歳の時に、イタリア政府奨学金を得てイタリアに1年間留学。

 

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