開志専門職大学ならではの講義や学習プログラム、学生のユニークな取り組みをご紹介する<開志のまなび>。今回は、LINE株式会社 執行役員の江口清貴氏を講師に迎えて実施した「トップランナー研究」のレポートをお届けします。
国内ユーザーは8,600万人。圧倒的シェアを誇る「LINE」
「LINE、使ってない人は?」。
この問いかけに、手を挙げた学生はゼロ。日本国内に8,600万人のユーザーを持ち、圧倒的なシェアを誇る「LINE」事業に携わる江口清貴さんの講演は、ご自身の経歴紹介からスタートしました。
LINEだけでなく、AIやSNSの活用支援、サイバーセキュリティをはじめ、さまざまな事業を行う法人や団体に複数の籍を置き、幅広い業界で活躍している江口さん。神奈川県が設置した「デジタル戦略本部室」の代表も兼任しており、民間企業に所属しながら行政機関の情報責任者も務めているのは初めてのケースだそうです。
高校を約1カ月で中退し、アルバイトをしながら大検を取得、明治学院大学に進学し、社会人の道へ…という、まさに異色の経歴を持つ江口さん。社会に出てからも、宣伝広報、経営企画、人事総務、財務経理、果ては投資や海外での事業まで、多岐に渡る職種を経験してきました。
「仕事を変える時、自分で『何かをやりたい!』というより、他人からの誘いや『やって』と頼まれる方がいいと思っています。あと、社会に出た時、不満を動機に動くのはやめた方がいい。不満じゃない時にどう動くか?が大切だと思います」。
その経歴から、社会人になった後に勉強が必要となり「勉強の仕方から勉強を始めた」と話します。
「やり残したことは…?と言われると、やはり勉強。入学金や授業料のことを考えると、大学の授業をサボったりするのはただの無駄です。皆さんが日々接している教授陣はすごい経歴の持ち主で、社会人になってからは簡単に話せない人ばかり。貴重な環境を大切にしてください」。
問題点の解決策を考えることがビジネスの第一歩
多方面に渡るキャリアを持つ江口さん。
「自分が『何をしている人なのか?』と言われれば、『問題を解決する人』だと思います。世の中の問題には、必ず解決策がある。この解決策が、ビジネスの基本になります。私の職種には一貫性がないかもしれませんが、どんな仕事でも『問題を解決する』という活動は変わっていません」。
<現状の把握→原因の特定→解決策の策定→実行>という流れをなるべく早く、数多く繰り返せるのが、問題解決のプロフェッショナル。そう話す江口さんが信条として掲げるキーワードは「思い立ったら即行動」です。
「国の人や、成功した人が深く考えて行動しているか?というと、決してそうではありません。『とりあえずやってみよう』『どうせやるなら本気でやろうぜ』と思っている人が、そちらに座っているか、こちら側に立っているか、ということだけだと思います」。
若者の行動を促すアイデアについてグループディスカッション
第2部は、一つのテーマについて話し合い、考えたアイデアを発表するグループディスカッション。
江口さんから与えられたお題は、今まさに世界における大きな課題となっている「新型コロナウイルス感染症対策」でした。
「ニュースなどでも言われている通り、若者の行動変容が感染拡大抑止の鍵になる。なぜ若者は行動変容しないのか?皆さんと同年代の若者に、行動変容を促すための施策を考えてください」。
ホワイトボードを使ってメンバーの考えを整理。どのグループも、チームメイトと真剣に意見を交換しあっていました。
ディスカッション後の発表では「VRによって外出した気分にさせる」「SNSなどで、コロナのニュースを読まないと先に進めないようにする」「一定期間感染しなかったらボーナスを与えたり、学費の減額、給料UPなどのメリットを与える」…など、チームごとにさまざまなアイデアを提示しました。
「なぜ若者は外に出るのか?」といった分析をもとに、講演にも登場した問題解決の手順「現状の把握→原因の特定→解決策の策定」をしっかりと実践した学生の発表。江口さんからは
「今回のキーワードは『行動を促す』。買ってもらう、見てもらう、やってもらう…これはすべてのビジネスの基本です。皆さんが発表した内容で、自分が実際に動くと思えなかったらその考えは足りない。動くと思えたら、ようやくスタートラインに立てたということだと思います」と、今後の考え方のヒントにもなるコメントが贈られました。
社会が変化しても変わらない、ビジネスの現場で必要なこととは?
質疑応答のコーナーでは、学生たちからこんな質問が。
学生「人生の中で一番の挫折は何ですか?」
江口さん「高校を中退していたり、他の人から見ると挫折だと思われることがたくさんあるかもしれませんが、挫折を挫折と認識しなければ挫折じゃない。失敗も、失敗と認識した瞬間に失敗になるんだと思います」
学生「さまざまな現場で仕事をされていますが、そのたびに生活環境が一変していったと思います。精神的負担の乗り越え方や、どんな方法で自分の精神を安定させていましたか?」
江口さん「…精神的な負担は、感じたことがないんです(笑)。変化することって、楽しくないですか?引っ越しや新しい服を買う時、ワクワクしませんか。物の見方を変えることが大切だと思います。今までの見方を持ったまま環境を変えるとストレスになる。環境の変化と物事の見方を同時に変えると、精神的な負担がない。要は物の見方、考え方だと思います」
など、ほかにもさまざまな質問が飛び交いました。
自由な発想で、社会の問題を解決してきた江口清貴さん。講演の終わりに、学生たちへこんなメッセージが贈られました。
「時代はどんどん変化するが、絶対に変わらないのは「人への思いやり」や「人とのコミュニケーションの仕方」。身近な人や世の中の人が、どういう気持ちで生活しているのか?どんなことを望んでいるのか?を想像すること。それを踏まえたアイデアが、これからのビジネスに繋がっていくと思います」。
ゲスト講師の貴重なお話を聞くことで、ビジネスに必要な力を高める「トップランナー研究」。
今後も開志専門職大学では、さまざまな企業のトップランナーが登場する予定です。
開志専門職大学の学びの特長はこちらをチェック
開志専門職大学 オープンキャンパス情報はこちらをチェック