本学アニメ・マンガ学部では、去る6月4日(土)に、「新潟視覚芸術研究所/Research Institute of Visual and Narrative Arts, Niigata=RIVNA(リヴィナ)」発足に伴い、kick off シンポジウム「アニメ中間素材アーカイブの現状と課題」を開催いたしました。
当日は、神村幸子アニメ・マンガ学部長によるRIVNA発足の辞と、新潟市からのご来賓である高田章子文化スポーツ部長様によるご祝辞の後、パネルトークが開始されました。
神村幸子アニメ・マンガ学部長
高田章子文化スポーツ部長
♦5名のパネラーによる講演
1人目は、文化庁参事官(芸術文化担当)付芸術文化調査官(メディア芸術担当)の椎名ゆかり様で、国によるメディア芸術振興政策の中から、特にアーカイブへの支援策をお話しいただきました。文化庁では、メディア芸術アーカイブ推進支援事業として補助金を交付しているほか、各地にある関係機関のネットワーク作りへの協力や、メディア芸術データベースの作成などを実施されているとのことです。
2人目は、新潟大学アニメ・アーカイブ研究センター共同代表の、石田美紀様(経済科学部教授)で、新潟大学が管理を一任されているアニメ演出家・渡部英雄氏のコレクションの保存と整理、運用について解説していただきました。新潟大学アニメ・アーカイブ研究センターでは、情報工学や高分子化学の研究者も参加し、独自のデータベース作成や、癒着したセル画の修復技術研究なども進められているそうです。
3人目は、福岡アジア美術館学芸課長で、過去に福岡市美術館にて全国6つの美術館共同企画として「富野由悠季の世界」展を開催した、山口洋三様でした。山口様からは、従来の催事型展示とは異なり、美術館が主体となって行う中間素材を用いた総合的な企画展の内容・意義と、その成立経緯についてご報告いただきました。「富野由悠季の世界」展は、新潟の新津美術館でも開催されたので、ご覧になった方も多いのではないかと思います。
4人目と5人目には、トムス・エンタテインメントアーカイブ課から清水英利子様と飯沢洋子様にご登壇いただきました。お二人からは、アーカイブ課の成立経緯と資料の保管方法、現状での課題などについて、お話いただきました。現在、アーカイブ課には『あしたのジョー2』のラストカットのセル画や、『ルパン三世』の最初のシリーズの企画書などが保存されているとのことです。一方で、直接に利益を生まないアーカイブの目的が、残すための保存と活用のための保存との間で揺れ動いてしまう難しさも指摘されました。
♦総参加者数は100名以上、質問や問題提起も活発
パネラーの皆さまからのご講演の後は、会場やオンライン参加者から活発に質問が寄せられ、多岐にわたる議論が行われました。また、櫻井繁樹学長代行による閉会の辞では、アニメ中間素材アーカイブに関わる研究や、研究インフラの整備がRIVNAの役割の一つではないかという課題の提起もなされました。
当日、会場には一般参加者に加えて、アニメ・マンガ学部の学生たちが多数参加しており、会場とオンラインを合わせた参加者数は100名を超える、大盛況のシンポジウムとなりました。
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