8月21日(土)に実施した、アニメ・マンガ学部のオープンキャンパス。夏休み限定のスペシャルプログラムとして、小学館 週刊少年サンデー編集部 町田尚太さんをゲストにお迎えし、特別講演と出張編集部を開催しました。今回の記事では、その様子をレポートします。
原稿を受け取るだけじゃない!マンガ編集者の仕事とは
小学館に入社、1年目から週刊少年サンデー編集部に配属され、今年で9年目を迎える町田さん。これまでに『名探偵コナン』で知られる青山剛昌先生や、『結界師』田辺イエロウ先生、『BE BLUES!〜青になれ〜』田中モトユキ先生をはじめ、15人以上のマンガ家を担当し、今もマンガ編集としてのキャリアを重ねています。今回の講演では、アニメ・マンガ学部に興味がある高校生に向けて、マンガ編集者の仕事内容や、そのやりがいについてお話いただきました。
「父が雑誌編集者だったので、雑誌に囲まれた環境で、面白さを体感しながら育ちました。配属されたのは『週刊少年サンデー』編集部。そこから現在まで約9年間、サンデー編集部でマンガ編集に携わっています」。
町田さんが思うマンガ編集者の仕事は、大きく分けて3つ。一つは雑誌を作ること、連載作家さんとの打ち合わせ、もう一つは作家を育成することです。
「雑誌を作るとは、マンガ部分の入稿作業(※作家から預かったマンガ原稿を、誤植や不備なく印刷所に納品すること)だけでなく、表紙やグラビアページの制作、応募者全員サービスや関連グッズの企画提案・打ち合わせ、誌面に掲載する記事作りやイベントの仕事など…。さまざまな内容を各担当が作って、1冊の本が出来上がります」。
そして連載作家さんとの打ち合わせや「作家の育成」に、マンガ編集という仕事の面白さを感じるといいます。
「自分が『この人の描く作品は面白い』と感じた人が連載デビューし、売れる瞬間が一番楽しいです。基本、マンガは編集者とマンガ家の1対1で作るもの。そして今は、ダイレクトにリアクションが分かる時代です。自分が担当した作品の読者アンケート結果が良かったり、ファンレターが届いたり、SNSで『面白い』と言われているのを見ると、狂喜乱舞するぐらい喜びます(笑)。これはエンタメの仕事ならではだと思います」。
その後、具体的なマンガ制作フローや担当した作家さんとのエピソード等を経て、編集という仕事についてこんなお話も。
「編集者というのは何もすごくないのですが、たとえばグラビア撮影だったら、女の子をかわいく見せるプロであるスタイリストさん、ヘアメイクさん、カメラマンさんと一緒に仕事ができる。記事だったら普段は会えない花火師さん、サッカー選手やプロ野球選手…いろんな人に会えます。そして何より、素晴らしい物語を作るマンガ家さんと、長い時間をかけ、アイデアをたくさん共有しながら、1対1でお話を紡いでいく。編集というのは、凡人が素晴らしい才能を持った人たちに囲まれながら仕事ができる唯一の職業だと思います」
質疑応答のコーナーでは、高校生からマンガ家やマンガ制作に関する質問があり、具体的な仕事内容もイメージできたようです。
エンタメ業界の最前線で活躍する町田さん。マンガという一大産業を現場で支える編集者の仕事の一端を知ることができ、参加者から町田さんへ最後に大きな拍手が贈られました。
編集者のリアルな目線で学生の作品にアドバイス
町田さんはその後、出張編集部ブースへ。開志の在学生によるマンガ作品や、オープンキャンパス参加者のイラスト作品などを添削していただきました。一人一人の作品に時間を掛けてじっくりと向き合ってくださり、参加者からは
「自分が無意識に苦手としていたことや、画力・ストーリー向上のための具体的なアドバイスをもらえて参考になりました」
「緊張したけど、プロの目線でこれからどんな練習をしたらいいか教えてもらえて貴重な時間でした」
といった感想がありました。
アニメ・マンガ学部では、今後もさまざまなイベントを開催していく予定です。
HPでもレポートしていくのでお見逃しなく!