桜の開花が待ち遠しいこの季節に、新潟の晴れた空の下で卒業という人生の大きな節目を迎える皆さん、おめでとう。
4年間皆さんの成長を見守り、支えていただいた保護者の皆さまにも、学生諸君とともに、そして教職員を代表して感謝をし、心よりお祝いを申し上げます。
新設大学の一期生として、本学の歴史を作ってくれたことに学長として感謝をしたいと思います。
ファーストペンギンという言葉があります。
ペンギンの群れの中から危険な海へ魚を求めて最初に飛び込む勇気あるペンギンのことで、率先して行動を起こす人への尊敬を込めて呼ぶ言葉です。今日の卒業生は、全員がファーストペンギンです。なぜなら4年前新設されたばかりで、その評価も定まっていない本学を選んで受験し、入学をしたことです。
飛び込んだ海は、厳しい荒海でした。
新型コロナの感染が猛威をふるっていた時期と重なったからです。感染し、不安な気持ちのまま下宿で療養、待機をした学生も少なくありません。希望に胸を膨らませて入学をしたものの4月に授業は始まらず、オンラインでの授業となり、対面の授業が始まったのは6月からでした。抗原検査、ワクチンの地域集団接種など集団感染を防ぐ工夫をしながら皆さんの協力で乗り切ることができました。4年間の学生生活は、上級生がいないという異例のものでした。
授業も、サークル活動も、就職活動も前例がない中で皆さんが作り上げてきたものと言って良いと思います。まさにファーストペンギンでした。大学祭がその典型でしょう。最初の年、中止となったことは大変悔しいことでした。コロナ禍の中でもコロナと闘いながら大学祭を開催したいという学生諸君の熱意は、2年目は学内のみ、3年目は一部外部の参加を得て、そして4年目は制限のない形で開催できました。大学祭の企画と運営は、常に最上級生として、皆さんが取り組んできたことで、ファーストペンギンとしての苦労はあったでしょうが、やり遂げたことは貴重な経験となったと思います。
専門職大学の教育の特長は、少人数教育、実務家教員、臨地実務実習にあります。
中でも、600時間を超える企業内実習はこれまでの大学が取り組んでこなかった、特色のある新しい教育の手法です。
最初の頃こそトラブルや苦情があったものの、今では受け入れ企業の評価も高くなり、学生の実力を大きく伸ばす教育の手法として、確立しています。これも皆さんが熱心に、かつ誠実に取り組み、試行錯誤と工夫を積み上げてできあがったものです。
そして最大の成果が皆さんの進路です。両学部とも実質就職率100%を達成しました。多くの学生が複数の就職先から主体的な選択をしました。就職先に先輩がいないというまさにファーストペンギンの苦労をモノともせず、このような成果をあげたことに敬意を評します。
就職先の経営者から「実力のある学生を採用できた、来年はもっと採用したい」という嬉しい話が続々と寄せられています。就職以外でも有名大学院に進学するもの、起業に挑戦するもの、フリーランサーとして専門家の道をめざすものなどがあり、開志専門職大学の教育が学生の能力を大きく伸ばすものであることを皆さんが実証してくれました。
この4年間は、内外とも環境が激変する時代でした。ウクライナとパレスチナでは戦争が続いています。米中摩擦は続いており、米国大統領選挙の結果如何では、さらに深刻化する恐れがあります。国内では、DX、GX革命が進行しております。また、デフレからインフレ経済へと進みつつあります。まさにVUCAの時代に皆さんは社会人となります。しかし、それは皆さんにとって絶好のチャンスでもあります。
なぜなら、答えのない世界で課題を解決できる能力、これまでの経験や知識が通用しない時代を生き抜く人材がこれまで以上に求められているからです。
開志専門職大学の一期生、ファーストペンギンとしての様々なことに取り組んできた皆さんにはそのような能力が確実に身についています。
社会に出ても自信を持ってファーストペンギンであり続けていただきたい、これを今日の餞の言葉とします。
令和6年3月15日
開志専門職大学学長 北畑 隆生