学長室の窓から Vol.4 「専門職大学説明会~専門職大学を知って、進路指導の選択を広げよう!~」冒頭挨拶

2023年9月22日

「学長室の窓から」Vol.4では、9月21日(木)に開催された「専門職大学説明会~専門職大学を知って、進路指導の選択を広げよう!~」における、北畑学長(専門職大学コンソーシアム 初代会長)の冒頭挨拶をご紹介します。

説明会開催趣旨
専門職大学は制度改正から5年が経過し、高等学校卒業者の進路先の一つとして、専門職大学を広く知っていただくため、全国の高等学校の管理職、進路指導者担当者等を対象として、本説明会が開催されました。
当日は約200名の方々よりお申込みがあり、盛況の中、会を終えることができました。

主催 文部科学省
共催 専門職大学コンソーシアム

(主な登壇者)

文部科学省 高等教育局 専門教育課長 梅原 弘史 様
文部科学省 高等教育局 専門教育課 専門職大学院室長 保坂 孝 様

(本学登壇者)

専門職大学コンソーシアム初代会長 北畑隆生学長 《会長挨拶》
事業創造学部   小川元也准教授 《実務家教員紹介》
事業創造学部4年 紺野愛貴さん  《臨地実務実習体験》

 

1、(自己紹介)

専門職大学コンソーシアム会長の北畑隆生でございます。2020年4月、新潟に開学した開志専門職大学の学長をしております。
経産省で38年間勤務した元公務員ですが、退官後、私の母校、兵庫県にある私学の中高一貫校で理事長を6年間、うち1年は校長を兼務しました。
皆さんのようなプロの教育者ではありませんが、わずかな期間ではありますが、高校の側から大学を見、大学入試に取り組んできた経験があります。

開志専門職大学での経験、実践例に触れながら専門職大学とは何か、について説明をします。

2、(専門職大学の特色)

私は、専門職大学の特色は、成長分野での人材育成と実践的教育の2点だと思います。

1)(成長分野での人材育成)

情報通信、健康などの成長分野は、高度人材が大量に不足しており、産業界の要望に既存の大学だけでは十分にこたえられません。
またスタートアップ、ファッション、アニメ、マンガ、クールジャパンなどは新しい成長分野ですが、既存の大学はあまり取り組んでいません。
学生の側から見れば、成長分野とは、大学でしっかり学べば就職に有利で、実力に見合った処遇が得られ、産業や企業が大きくなるのに合わせてより高い地位で活躍する機会が広がる分野です。

専門職大学では、このような成長分野での人材育成に取り組んでいます。

2)(実践的教育)

専門職大学が既存大学と大きく異なるのは、教育の手法が実践的教育であることです。

①少人数クラス、②実務家教員、③長期の企業内実習の3点が義務づけられており、実践的教育を推進する体制が整っています。

 ①(少人数クラス)

授業は原則40人以下の少人数クラスです。高校の授業の規模と大差ありません。
既存の大学の多くで行われているような、何百人も入る大教室で一方通行の講義を行い、学生はひたすらノートを取るという授業は、単位として認められないのです。
学生数に比較して教員の数が多く、親身に指導する体制になっています。
本学では、10人前後の学生に1人の専任教員がいるという比率となります。兼任、非常勤も加えれば、約6人の学生に1人の教員がいることになります。
この夏休み、他大学に進学した高校の同級生と話をした学生は「本学は学生と教員の距離が近い」「研究室を訪問すれば、教授が自分一人のために十分な時間をとって理解できなかった事柄を丁寧に指導してくれる、親身な指導が受けられることが他大学との違い」と実感したそうです。

 ②(実務家教員)

企業などで勤務経験があり、高度な研究実績を有する教員を「実務家教員」といいます。専門職大学では必要教員数の40%以上がこの「実務家教員」であることが条件となっています。
開志専門職大学の場合は50%以上が実務家教員で、NTT、三菱電機、丸紅、日本製鉄などで勤務実績のある教員が揃っています。現在進行形の産業や社会の現実、企業などの現場を踏まえた授業は、学生の関心も高く魅力的な内容となっています。

 ③(長期の企業内実習)

そして、最大の特色は、4年間で600時間以上の企業内実習です。正式には臨地実務実習と言います。既存の大学はもちろん、専門学校、高専でもこれだけ長期の企業内実習をやるところはないと思います。大学内での実習を含めれば、卒業に必要な単位の3分の1は、実習です。理論や幅広い知識を学ぶと同時に企業の現場で実践することで学生は目に見えて成長します。

  • まず、企業の現場で従業員と一緒に仕事をすることで、働くこととは何か、自分に相応しい職業は何か、を考えるようになります。それは目的意識を持ったモチベーションの高い学習につながります。
  • 大学で学んだことが企業など現場で通用するかどうか確認します。学びが足りなかったことに気づけば、学び直しをします。通用することがわかれば、大きな自信になります。このような経験を繰り返すことで学生のスキル、能力が向上します。
  • 仕事に対する責任感、コミュニケーションの重要性、プレゼン能力の必要性など大学の教室だけでは得られない貴重な体験をします。

そしてそれらは就職の実績にもつながるのですが、後ほど説明します。

企業内実習を行った学生からは、

「先週できなかったことが今週はできるようになり、とても嬉しい」

「人前で堂々と話すことができるようになった」

「任されたソフト開発が会社の広告に採用されて自信がついた」

「外資系の企業で、24時間英語で仕事も生活もする経験を、土日を含めて33日間も連続して続けたことで、英語でもコミュニケーションができるようになった」というような報告がありました。

受け入れ企業の側からは、

「従業員と机を並べて学生の研修を受け入れることには負担になる部分があるが、学生の新鮮な発想に自分たちが学ぶ機会にもなる」

「真剣に取り組んでいる。社会に出れば確実に活躍できるだろう」

「卒業すれば、是非採用したい学生がいる」などという嬉しい声も聞きました。

3、(就職に強い大学)

就職に強いのが専門職大学です。来年3月、一期生が卒業を迎えます。大学院進学を目指している学生が3名、在学中に起業した学生ベンチャーが5組います。また、本学の就職希望者は、2学部合計で109名、うち102名が既に内々定を得ています。9月19日現在の内々定率は93.6%です。複数の会社から内々定を得た学生も多く、一人当たり平均約1.6社となります。初年度から実質就職率100%達成はほぼ確実になりました。

内々定先も一流企業の代名詞である東証プライム市場上場会社が22社。

非上場でも横浜銀行、アイリスオーヤマ、星野リゾート、NTTテクノクロスなど有名企業が少なくありません。新潟県内の従業員100人以上の企業38社からも、内々定を得ました。

歴史のある大学であれば、就職先の企業にいる先輩から会社の情報を聞き、筆記試験や面接の傾向などが分かりますが、本学の一期生にはそれがなく、ハンディがありました。にもかかわらず就職が好調なのは、実践的教育の成果です。在学中に企業内実習などで早めの社会人生活を経験して明確な職業意識を持ち、目的意識を持って勉学に励み、プロフェッショナルなスキルを身につけたからだと思います。

ある学生は、「面接には絶対の自信がある。企業内実習で現場を経験し、企業、経営、職業は何かを体得し、自分のスキルを磨いてきた。プレゼンにも自信がある。自分の内容の濃い話しぶりに、ほほうと頷いた面接官の顔を見て合格を確信した」と言いました。

 

専門職大学は、入学した学生の能力を大きく伸ばす大学です。そして就職に強い大学であります。
どうぞ、進路指導の中で、専門職大学という選択肢もあるよ、というご指導をいただきますようお願いしてご挨拶といたします。

(学長 北畑 隆生)