2023年9月9日
転職が当たり前の時代となった。
甘い囁きで転職を勧める職業紹介ビジネスが流行っている。より良い報酬、やりがいのある仕事を求めての転職であればよい。しかし、不本意な転職もある。その一つが新卒大学生の3割が3年以内に転職、失業をする問題である。学生本人にとっても、就職先にとっても不幸なことである。
すべての大学がそうであるとは言わないが、特に文系の学部では数百人を収容する大教室で年配の教授が自分の研究成果を一方的に話し、学生はひたすらノートを取る。そういう講義が少なくない。学生にとって面白いはずがない。
大学での勉学に意欲を失い、授業をサボり、アルバイトと遊びに走り、職業意識や自分の実力に気づかないまま就活の季節を迎える。
何十もの会社にエントリーし、やおら黒いリクルートスーツを纏い、マニュアル本を暗記して面接に臨むが付け焼き刃は見破られる。何社も落ちて自信を失い、内定をもらえるならどこでも良いと考える。
そういう就職先選びをしているから、就職後「こんなはずではなかった」と幻滅して失業、転職をしてしまう。プロフェッショナルなスキルが身に付いていないから転職先での評価は高くならない。
本学一期生には、自分は金融業、通信産業、ゲーム業界、自動車関係など就職先を絞って就職活動をした学生が多かった。そのため目的意識を持って勉学に励んでいたのだと思う。複数の内々定をもらった学生に規模の小さい方の会社を選んだ理由を尋ねると「経営者が気に入ったから」と答えたのには驚いた。こういう就職先選びをしている学生に「3年3割説」は、無縁だと思う。
(学長 北畑 隆生)