<第2回 開志コラボセミナーレポート>ユーザーイン経営~いかなる時代環境でも利益を出す仕組み

本学における産学連携プロジェクトの一環として、産業界で活躍するビジネスパーソンを講師に招いて実施している「開志コラボセミナー」。今回は2020年12月12日(土)、紫竹山キャンパスからオンライン配信で行ったコラボセミナーの模様をレポートします。

第2回の講師は、アイリスグループ会長、本学客員教授でもある大山健太郎さん。父親が経営していたプラスチック加工の会社を19歳で引き継ぎ、1991年アイリスオーヤマに社名を変更。生活用品メーカー、LED照明、家電メーカーに業務を拡大し、2009年5月に藍綬褒章、2017年11月に旭日重光章を授賞。54年に渡る社長業から、2018年に会長職へと就任、半世紀以上に渡って経営に携わっています。

講演のテーマは「ユーザーイン経営~いかなる時代環境でも利益を出す仕組み」。国内外に28社、世界に32の工場を展開するグローバル企業のトップが語る、ユーザーイン経営とは?

 

市場を創造し、永遠に存続すること

「もともとは産業資材をつくっていましたが、オイルショック以降、生活用品で需要創造する、これがユーザーインの開発になりました」
現在の売上の5割以上は家電。基本的にはBtoCのメーカーベンダーの仕組みとして、新しいビジネススタイルを作り上げたといいます。そして、東日本大震災以降、BtoBにも進出。LEDで市場創造を果たし、新型コロナウイルス感染拡大下においては日本一のマスクメーカーとして、大きな社会貢献をもたらしています。

アイリスグループは年間1,000アイテムの新商品を開発し、25,000アイテムを超える幅広い商品ラインナップを誇ります。ユーザーインの発想で需要創造を続け、製造と問屋の機能を併せ持ち、メーカーベンダーで流通の無駄を省きながら市場を創造していく。そこには「永遠に存続すること」という企業理念の基、好況の時に儲けるのではなく、不況の時でも利益を出し続けるという強い意志が込められています。

 

持ち合わせていたのはイエスの言葉

「アイリスグループは、一歩先を見据えています。マーケットも結果的には手段であり、常に最終消費者である皆さん方がお店で実際にお金を払って、買っていただいた瞬間が我々の売上になる。そういう考え方で事業展開していくこと、それがユーザーインです」

ユーザーインを第一に考えたのは、家業を継承した際の経験があったから。人、モノ、お金、情報、営業力…19歳の大山さんにとって強みと呼べるものは皆無。持っていたのは、若さだけでした。

「私にあったのはただ一つ、イエスという言葉。何も言わずに仕事を受け、身を粉にして働いた。こんな便利な下請けはないですよね、そのうちに難しい仕事や嫌な仕事もできる限り受けました。当然、失敗も多々。若いから許された部分もありました」

56年間の間、4~5年単位で訪れる循環型好不況に加え、オイルショックやバブル崩壊、金融危機、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウイルス感染拡大と、10年単位で起こる予想外の出来事にも数多く遭遇。

「不景気は確実にくる、不景気でも利益の出せる事業をしようと考えたのは、オイルショックから得た経験です。もしオイルショックが無かったら、今のアイリスオーヤマはありません」

現在のアイリスオーヤマは、10万店の小売業やメーカーベンダーと取引するほどの大規模企業。

「問屋がないので、直接お店をフォローします。問屋の機能としてバックアップをとっていくのです。ある意味、異業種、メーカーが製造業や問屋の機能を持つことで、技術革新ができました」

毎年のように1,000点以上の新商品が登場しすべてをプラスオン。棚管理や商品管理をコンピュータで行うことで、その中でユーザーインが出来たといいます。

 

起業を目指す開志生へ——起業家に必要なもの、大切なこととは

起業家にとって大切なポイントは、何を扱っているかではなく、誰のために何をやるかだと語る大山さん。

「事業構想の一番は、ターゲットを決めること。そして次に大事なことは、そのスタートを誰と一緒にはじめるのかです。知らない人を仲間に入れるためには、ビジョンを示さないといけない。誰のために何をするのか、ビジョンを明確にしてください。実際にモノを作り、売り、利益を出しているのは社員です。社員あっての会社です。働く社員の仕組みを整えることが必要です」

そしてもう一つは、経営者の目線を身につけること。日本の人口構図、生産年齢人口、一人当たりの労働性を分かった上で、本質的、多面的、長期的に物事を捉えていくことが大切だと語ってくれました。

 

なぜ、社長は偉いのか?

「事業構想はリーダーシップがないとできません。構想するだけじゃなく、いかに実践して共感させるか。大事なのは、共感力です」

ビジョンを示し、戦略を理解してもらい、共に進むこと。起業家に求められるのは、共感をした中でそれを分かりやすく説明するためのスキルだといいます。

「夢は、ただの夢。目が覚めたら忘れます。それを実現したいからこそ、願望に変わるのです。そのためにも情報共有は必須です」

なぜ社長は偉いのか。それは組織のトップだからではなく、すべての情報が社長へと伝わるようになっているから。優秀な社長というのは、社長が優秀なのではなく、情報を独り占めしているからだといいます。

「情報の共有をすることで、社長が考えていること、あるいは会社がしなくてはいけないことが分かる。そのために、一目瞭然で誰でもわかるフォーマット=資料を作っています。それも、文字数を抑えた1ページ単位で。わかりやすく共有できるのが、優秀な資料だと考えています」

例え国が違っても、性別が違っても、役職が違っても、仕組みさえあれば、1ページで完結した資料がつくれる。書くことで社員自身が自分たちの参考になると考えるからこそ、自発的に書くのだと大山さんはいいます。

「スピード経営をする際に大切なのは、現場の声にいかに早く答えるか。いくら構想力、意欲があっても、会社が大きくなるとスピードが遅くなりますから」

 

消費者が気づいていないニーズを見つけ、需要を創造していくユーザーイン経営。紆余曲折を潜り抜け、その先駆けとして、押しも押されもせぬ世界規模の企業となったアイリスオーヤマの今後の創造に注目が集まります。

今後も開志専門職大学では、産業界で活躍する方を講師にお招きしてのコラボセミナーを開催予定です。

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