3、「日本アドシステムズ(NAS)」の実態
(第2回【『ドラゴンクエスト』のテレビアニメ製作をめぐって】はこちら)
-- 先ほどからNASの話が出ていますけれど、アサツーとNASの関係は、どういうものだったんでしょうか。
片岡 イコールですよ。NASには全く会社の実態がないです。
-- なんで「日本アドシステムズ」という名前なんでしょうか。
片岡 アサツーにとっては、パイオニアという会社がバンダイさんと同じように、とても大事なお得意さんだったんですよ。パイオニアがLDをつくって出し始めたときに、ソフトを作る会社が足りないということで、取引のあった広告代理店のアサツーに、LDC用の映像ソフトを作る会社が欲しいと言われて、当時アサツーが既に持っていた日本アドシステムズっていう子会社に、その役割を果たさせたってことです。それで映像ソフトのコンテンツメーカーのにおいを持ってたので、そこにアニメ製作をくっつけてしまったんですね。だから会社の実態は全くなくて、実際は私の部下が全部で、商品化許諾のほうのマーチャンダイジングを含めて12~13人いたんですけど、全員がアサツー社員ですよ。あと、ライトソング音楽出版という、『奇面組』の主題歌のほとんどの音楽出版権を持ってる会社も、全く実態がない。
-- アサツーの社員が出向しているということですか。
片岡 そうなんです。誰もNASの名刺を持ってなかったですよ。ですから、そういうご都合主義でやってたんですよね。それは、僕がアサツーに入った頃から少しずつ変わっていったからです。それまでは『ドラえもん』はシンエイ動画が作る、『ドラゴンボール』は東映動画が作る。その仕事の仕組みの中で、アサツーはアニメビジネスをやってたんです。つまり、あくまでも広告代理店として二次利用権を販売する、スポンサーにテレビ番組の提供スポンサーに付いてもらって、テレビ番組提供費を、例えば月額1億円とかもらうというような、本来の広告代理店の仕事をしてた。ですから、ヒットタイトルで言うと、『キャンディ・キャンディ』も『忍者ハットリくん』も『アラレちゃん』も、そういうスタイルで作ったわけですよね。でも、僕が入ったあたりからだんだん、制作プロデュースをすることを志向して作っていったんですね。僕も「プロデュースやるんなら著作権を持ったほうがいいんじゃないか」って言って。
僕の最初のプロデュース作品は『さすがの猿飛』なんですけど、それか『あした天気になあれ』あたりが、NASでの仕事の最初じゃないかな。
-- それでその後に『奇面組』があると。
片岡 そう。その辺から、実質的に僕がプロデューサーとして、制作会社を指揮して作るっていう形になっていったんです。つまりNASの実態は、私をそうやって利用できると思った僕の上司が発想した仕組みです。巧妙な仕組みではあるけれども、アニメ業界にとっては良くないですよね。
(第4回【アニメ『こち亀』のプロデュース】に続く)