情報学部4年次の西川昌宏先生のICT活用総合実習(ゼミ活動)では、「インクルーシブデザイン※によるイノベーティブな課題解決」をテーマに、「障がい者・健常者、両者が学びやすい大学づくり」を目指した活動を行っています。この活動は、障がいの有無に関わらず活躍できる企業を目指す(株)NSGソシアルサポートのご協力のもと、(株)ソシアルサポートのスタッフで車いすユーザーである松村 誠 様に実際に情報学部の米山キャンパスにお越しいただき、キャンパス内の課題発見のためのフィールドワークを行っていただきました。その結果に基づき、「障がい者・健常者、両者が学びやすい大学づくり」のための提案がされました。
※インクルーシブデザインとは・・・「包摂的な、すべてを包み込む」という意味で、多様な人々のニーズを考慮し、誰もが利用しやすい製品やサービスを創り出すデザイン手法のこと。
フィールドワークを通じて、車いす用の自習スペースの不足や、書類手続きの場所の利便性の低さなど、具体的な問題が浮き彫りになりました。特に、大きな課題となったのは「1Fロビーの申請書等の場所が使いづらい」という問題です。この課題解決のため、申請書類の書き方や学校内の案内を動画や音声で伝える「動画案内の設置」、アルバイト紹介やポスターが貼られている掲示板を電子化する「電子掲示板の設置」、申請書類の書き方の見本などを手に取って近くで見ることができるようにする「書類ファイリングの設置」が挙げられました。
ゼミ生のコメントをご紹介します。
■情報学部4年 高橋朋宏さん
「キャンパスツアーでも多くの気づきを得ることができました。段差や広さ、トイレの設備など様々な視点を考慮することで、選択肢が制限されてしまうことが分かりました。より包括的なアクセシビリティ対策がまちづくりなどの環境づくりに必要なことを再確認し、より多様な人々が快適に過ごせる社会を築いていく必要があると感じました」
■情報学部4年 上沼大和さん
「当初は、障がいのある方に対して全てにおいて配慮しなければいけないと感じていました。しかし実際に車いすユーザーの方と接する中で、障がいがあっても自身で解決できることが多くあり、逆に障がいがあるからこそ気づくことができる観点があることを学びました」
■情報学部4年 上田和史さん
「車いすユーザーの方とのキャンパスツアーで、新たな気づきがありました。普段見過ごしていた障害や制約に直面し、バリアフリーの重要性を強く理解しました。段差や狭い通路、斜面、車いす対応施設の不足など、改善の必要性を痛感しました。将来のキャンパス設計や施設改善に向けて、よりインクルーシブな環境を作り上げる必要があると感じました」
ゼミ生たちは、大学の施設などに限らず、ソフトやサービスという視点でも、よりインクルーシブな学びの環境を目指して取り組んでいます。障がい者と健常者が共に学ぶことで、お互いを理解し合い、共生の意識が芽生え、多様性を尊重する温かい大学文化が育まれます。また、障がい者支援に関する情報の提供や教育プログラムの充実も非常に重要です。
来年施行される改正障害者差別解消法により、私立大学にも不当な差別的取り扱いの禁止と合理的配慮の提供が義務付けられます。本学においてもそれに向けて規程や体制などの準備を進めており、本活動もその一環です。
こうしたゼミ活動や講義の様子は、今後もHPなどでレポートしていきます。