【研究活動】 事業創造学部4年生 栗林友香さんらの研究成果が学術ジャーナル『開発工学』に掲載されました。

事業創造学部4年生の栗林友香 さん(新潟県立新潟中央高等学校出身)を筆頭著者とする研究論文が日本開発工学会『開発工学』 2024年度前期号, Vol. 44, No. 1に掲載されました。
本論文は、指導教員の明珍儀隆 准教授との共著論文であり、4年次必修科目「事業計画策定総合演習」における研究成果です。本研究にあたっては、新潟県で100年続く「出雲崎手作り紙風船」を製造する磯野紙風船製造所へのフィールド調査を通じて、伝統工芸産業における持続的経営・活性化の可能性を探求しました。

 

本論文の特徴:S-Dロジックに基づく価値共創の視点

論文タイトルは、『伝統工芸産業の持続的経営および活性化の研究 ─ 新潟県「出雲崎手作り紙風船」における価値共創の視点 ─』。本研究における理論基盤をサービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)の「文脈価値」概念に依拠し、新潟県出雲崎町にある磯野紙風船製造所の事例に基づき、顧客と企業が協働して新たな価値を創出する仕組みを解明しました。これにより、伝統工芸産業における持続可能な経営および活性化に向けた実務的・学術的な知見を示唆しました。

 

研究成果の意義

本研究では、地域資源を活用した新しいマーケティング戦略の可能性を示すとともに、伝統工芸産業が持続可能な経営を実現するための実践的なフレームワークを提示しました。この研究成果は、国内外における伝統工芸品のブランド価値向上や販路拡大に貢献する研究として、今後のさらなる研究発展が期待されます。

栗林さんは、「学術ジャーナルへの掲載が決まり、大変光栄に感じています。論文の執筆は大変でしたが、このような形で私の取り組んだ研究が世に発信されることをうれしく思います。この経験を通じて、社会課題を論理的に探求する力をさらに磨いていきたいです」と喜びを語っています。

 

本学の研究活動と今後の展望

本学では、学生が自発的に取り組むことのできる理論と実践を融合させた教育と研究活動を重視しております。特に、学生と指導教員による研究論文の執筆を通じて、学生の学びが社会に還元される環境を整えています。今回の研究成果をもとに、地域社会との連携を一層深める取り組みを進めていきます。

 

株式会社磯野紙風船製造所

磯野紙風船製造所は、新潟県出雲崎町で1919年に創業し、日本で唯一、手作り紙風船を製造する企業です。伝統技術を守りながら、多様なデザインやオーダーメイド商品を展開し、観光土産やイベント用アイテムとしても活用されています。近年では、海外からの需要も拡大し、伝統工芸を未来へ継承する取り組みを進めています。

磯野紙風船製造所公式サイト

 

日本開発工学会

日本開発工学会は、日本学術会議協力学術研究団体であり、ビジネスの創造に関するあらゆる事柄を研究する学術団体です。研究開発や技術開発、製品開発などを総合的なビジネス創造に結びつけるため、市場と組織の効率的な関係を探求しています。同学会は「技術と社会の調和」「理論と実務との橋渡し」を目指し、企業の利益と社会の幸福の両立を追求しています。

日本開発工学会公式サイト

 

論文情報

論文タイトル: 伝統工芸産業の持続的経営および活性化の研究 ─ 新潟県「出雲崎手作り紙風船」における価値共創の視点 ─

(Research on Sustainable Management and Revitalization of Traditional Craft Industries in Japan: A Study of Value Co-Creation in the Case of “Izumozaki Handmade Paper Balloons” in Niigata)

著者: 栗林友香、明珍儀隆(Yuka Kuribayashi, Yoshitaka Myochin)
掲載: 『開発工学』 2024年度前期号, Vol. 44, No. 1, pp. 43-46.
刊行日: 2025年1月6日

磯野紙風船製造所にて撮影(右から栗林友香さん、磯野社長、明珍准教授)

 

問い合わせ先

学校法人 新潟総合学院 開志専門職大学
〒950-0914 新潟市中央区紫竹山6-3-5
TEL: 025-240-8118



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