
2026年7月27日(月)、開志専門職大学では、開志AI・数理データサイエンスセンターの企画により、カリフォルニア大学バークレー校教授で本学客員教授を務める世界的な理論物理学者・野村泰紀先生をお招きし、特別講義「量子力学の世界と情報」を実施しました。
野村先生は、量子重力や宇宙論を専門とする理論物理学者であり、マルチバース宇宙論の第一人者として国際的に活躍しています。東京大学で博士(理学)を取得後、現在はカリフォルニア大学バークレー校教授、ラインウェーバー理論物理学研究所所長、理化学研究所 数理創造研究センター(iTHEMS)上級研究員を務めるほか、本学客員教授として学生への教育にも継続的に携わっています。
本講義は、情報学部1年生必修科目「基礎ゼミII」の授業として実施されました。本学での特別講義は今回で4回目となります。
世界的研究者から学ぶ、挑戦し続ける姿勢

冒頭では、自身の研究者としての歩みを振り返りながら、学生へ向けたメッセージを語りました。
研究者として歩むきっかけとなった恩師との出会いを振り返り、人との出会いの大切さを学生へ伝えました。
また、アメリカでの研究生活を通じ、多様な文化の中では積極的にコミュニケーションを取り、その国や社会を知ることの重要性を学んだ経験を語りました。
さらに、30代で研究分野を大きく転換し、思うような成果が得られず苦しい時期を経験したことにも触れ、「時々自分のことを適当に振り返りながら、一生懸命やるしかない。……僕も(まだ)頑張ります。」と学生へメッセージを送りました。
量子力学が拓く、未来の情報技術

講義は、ニュートン力学や電磁気学によって築かれた古典物理学から始まり、それだけでは説明できないミクロの世界を理解するために、量子力学が誕生した歴史をたどりながら進められました。
従来の常識では説明できない現象に向き合った先人たちが、試行錯誤を重ねながら新たな理論を築いてきた歴史を、図やイラスト、身振りや板書を交えながら分かりやすく紹介されました。
さらに、相対性理論や量子場理論、現在も研究が続く「量子重力」にも話が及び、物理学が今なお発展を続ける学問であることを示しました。また、量子力学が量子コンピュータをはじめとする次世代の情報技術の基盤となっていることにも触れ、基礎科学が未来の技術へとつながる面白さに触れる機会となりました。情報学部では、ゼミで量子コンピュータに関するテーマに取り組む4年生の学生もおり、そのような学生にとっては、自らの研究テーマとのつながりを実感しながら学べる貴重な機会となりました。
「もっと知りたい」学生たちの知的好奇心

講義後のアンケートでは、多くの学生から好意的な感想が寄せられました。学生からは、
「今までの常識では説明できない現象に対して、仮説を立て、実験を繰り返して解明してきたからこそ、現在の物理学があるのだと思いました。講義では詳しく説明されなかったトンネル効果などについても、もっと知りたいと思いました。」
「ずっと物理が苦手で避けてきましたが、今回の講義を聞いて面白いと思うことができました。」
「また、量子力学が単なる理論ではなく、半導体やコンピュータ、通信技術など、現在の社会を支えるさまざまな技術に応用されていることを知り、とても興味深く感じました。難しい内容もありましたが、私たちの身近な技術と深く関わっていることが理解でき、量子力学についてさらに学んでみたいと思いました。」
などの感想が寄せられました。
専門的な内容でありながら、図やイラスト、身振りや板書を交えた分かりやすい説明や、第一線で活躍する研究者自身の経験を交えた講演を通して、多くの学生にとって、量子力学への興味を深めるとともに、基礎科学と情報技術とのつながりを考える機会となりました。
学部を越えて広がる学び

本講義は、情報学部の学生に加え、事業創造学部の学生・教員も紫竹山会場で聴講したほか、アニメ・マンガ学部へオンライン配信を行い、15名の学生が参加しました。学部の枠を越えて実施された本講義は、それぞれの専門分野の視点から最先端の科学に触れ、専門分野に応じた学びや新たな気づきを得る機会となりました。