本学では、知識を学ぶだけでなく、実践を重視した教育活動を展開しています。その一環として、各産業で活躍されている実務家の方々をお招きし、学生に産業の最前線に関する知識や経験を共有していただいています。
2026年5月7日(木)、事業創造学部・情報学部が共同で行う「現代産業論」において、株式会社トラベルジップ顧問(元ANAセールス株式会社 常務取締役)を務められている伊豆芳人様をゲスト講師にお招きし、「観光産業(ツーリズム)」というテーマでご講義いただきました。

伊豆様はまず、観光の意味について説明されました。観光は、単に風景を見るSightseeingだけではなく、レジャー、ビジネス、親族や友人を訪ねる旅行など、日常生活圏外の場所を訪れ、そこで滞在する人々の諸活動を含む広い概念であることが示されました。また、旅の始まりの一つとして「巡礼の旅」が紹介されました。キリスト教やイスラム教における巡礼、日本における四国八十八か所巡りや伊勢神宮への参拝などを例に、古くから人々が宗教的・文化的な目的を持って移動してきたことについてお話しいただきました。
観光産業がもたらす波及効果は、運輸業、宿泊業、小売業、飲食業などにとどまらず、地域経済や多様な産業と深く関わっています。近年では、特に「体験」が観光における重要な要素として注目されており、新潟県においても、佐渡島をはじめとする地域資源を活用し、体験型観光を創出していくことの重要性が示されました。

観光産業は社会情勢や市場環境から大きな影響を受ける産業であることも説明されました。新型コロナウイルスの感染拡大や、近年の国際情勢の不安定化、戦争・紛争などは、人々の移動や観光需要に大きな影響を与えます。そのため、観光産業は楽しさや経済効果だけでなく、平和や安全とも深く関わっていることを学びました。
質疑応答では、外国人観光客が日本を訪れる理由について質問がありました。伊豆様は、円安による旅行コストの低下だけでなく、日本の伝統文化、食文化、アニメなどへの関心も大きな理由であると説明されました。また、今後は地方空港を活用し、観光客を地方へ分散させることが、オーバーツーリズムの緩和につながると述べられました。
今回の講義を通じて、学生たちは、観光産業が単なる旅行やレジャーではなく、移動、宿泊、飲食、買い物、体験、地域づくり、平和、安全、国際交流など、多様な要素と結びついた広い産業であることを学びました。また、ツーリズムを「旅を実現させる産業」かつ「交流を創造する産業」として捉えることで、地域社会や世界の変化について考える貴重な機会となりました。