DMG森精機株式会社様 広報誌「つながり」に学長対談記事が掲載されました!
開志専門職大学 北畑学長は、昨年末、 松本紘理化学研究所理事長(第 25 代京都大学総長)と「日本の教育を考える」をテーマに対談しました。以下、対談の内容の抜粋です。
【松本】
北畑さんは、経済産業省の事務次官までお勤めになり、その後三田学園で学校経営や教員の指導に当たってこられ、 2020 年春に開校になる開志専門職大学の学長になられたとのことです。
これらの経験を踏まえ、今回の対談では日本の中学、高校、そして大学の教育に何が必要かについて話を進めていきたいと思います。
北畑さんは、教員生活の経験がなく、教育の場に入られましたが、教育改革ではご苦労もあったと思います。(中略)
三田学園での教育改革の経験が、新しい試みの開志専門職大学でも生かされると思います。学長として、どんな 大学を目指しておられるのですか。
即戦力で高度な人材を育てる専門職大学
【北畑】
2019年から専門職大学という新しいカテゴリーの大学制度がスタートしました。
高度な知識と理論を学ぶ大学に、専門学校などが行っている実践的な職業教育の良さを取り入れたものです。
人生百年時代となり、若者は 50 年以上の職業生活を生き抜かなければなりません。
産業構造、技術革新、国際化など変化する時代を迎え、経験したことのない新しい仕事に取り組んだり、転職 することも当たり前となります。
より豊かでやりがいのある仕事に就くためには、しっかりした技術技能を持つ即戦力であると同時に、理論と高度な知識に基づく新しい事態に対応するための展開力、応用力が必要です。そういった人材を育てていきます。
【松本】
専門職大学というのは、一つの分野に限るのですか。
「自学自習」で基礎を身に付ける
【北畑】
初年度は事業創造学部と情報学部の 2 学部を開設します。また、国際観光学部とアニメ・マンガ学部の増設を申請しています。
事業創造学部は、ベンチャーの創業者や企業の企画部門の人材、中小企業の後継者などを育成します。
情報学部は、 IT 関係の技術者を育てていきます。
建学の精神は自学、挑戦、創造、貢献ですが、一番に「自学」を掲げました。
大学卒業後も自分を高めるために学びを続けないと、変化の時代に生きていけません。
一生学び続ける習慣を身に付ける教育をします。 (中略)
【松本】
高等専門学校も電気や機械などある種の専門技術を持っています。
京都大学の電気では、 3 回生編入によって、高専から入ってきます。
普通に大学の 1 年から上がってきた学生と比べると、優秀で、まじめな学生が多いです。
まじめも一つの大きな財産だということで、 3 回生編入を激励したことがありますが、その学生は伸びます。
新しい大学では、高専の学生を入れるという道もぜひ考えて欲しいと思います。
【北畑】
第一次安倍政権で再チャレンジ政策を論議していたとき、私は経済産業省の局長をしておりました。
高専から大学への編入をもっと認めるべきだという議論をしました。
10 年前のことですが、すでに高専から東京大学、京都大学に 10 人以上編入が認められていました。
高専は実践的な教育を行っていますが、残念なことに学士号は出ません。
大学編入で高度な知識や理論を学び、学士号を取得することは重要だと思います。
開志専門職大学でも専門学校、高専から大いに受け入れたいと思います。
また、専門職大学では、民間企業の勤務経験がある人を教員として 4 割ほど採用します。
大学を出て理論に優れた研究型の先生と、実務家の双方が教育に当たります。
大手電機メーカーから博士号を持つ研究者を教授で迎えます。
民間企業で経験を積んだ人に実践的な教育に取り組んでもらえる学校になるのではないかと思います。 (中略)
対談の全文は、DMG 森精機株式会社様 広報誌「つながり」 VOI,33 号冬号( 2020 年 1 月発行)に掲載されており、こちらからもご覧いただけます。→対談全文ページ
理化学研究所理事長(第25 代京都大学総長)
松本 紘 様
1942年生まれ。奈良県出身。
1965年京都大学電子工学科卒 、 工学博士。京都大学生存圏研究所長、理事・副学長などを経て 、 2014 年 9 月まで総長。 2015 年 4 月に理化学研究所理事長に就任。 国際電波科学連合会長、首相官邸、内閣府関係の委員等、 国立 大学協力会長を歴任。ガガーリンメダル(ロシア)、 紫綬褒章 、 Booker Gold Medal (USA)レジオンドヌール勲章シュヴァリエ(フランス)、名誉大英勲章(英国)を受賞。主な著編書に「京都から大学を変える」(祥伝社新書)、「改革は実行~私の履歴書~」(日本経済新聞社)。
開志専門職大学
学長
北畑 隆生
1950年生まれ。兵庫県出身。
1972年東京大学法学部卒、同年通商産業省(現経済産業省)入省。大臣官房総括審議官、大臣官房長、経済産業政策局長などを経て、2006 年経済産業事務次官に就任。
2008年退任し、学校法人三田学園理事長、同校長、 神戸製鋼所取締役会議長 、丸紅社外取締役 など を歴任。百年経営の会会長、 2020 年から開志専門職大学学長に就任。著書に「地域に活気。日本に元気―地域経済活性化の処方箋」「新経済産業戦略を語る」(いずれも経済産業調査会)などがある。