<第3回 土曜講座レポート>ビジネスで、世界を目指そう!講師:丸紅株式会社 大本晶之さん

2021年度から始まった開志専門職大学の取り組み「土曜講座」。本学の客員教授・特別講師をはじめ、各分野の第一線で活躍する方を講師に招いて特別講演を行うことで、学生のみなさんの現代経済への理解を深め、日々の学習意欲へとつなげる取り組みです。
今回の記事では、6月19日(土)に行われた第3回 土曜講座の模様をレポートします。

 

世界を目指す意志を持ってビジネスに挑戦しよう

第3回の講師は、丸紅株式会社 執行役員/次世代事業開発本部 本部長の大本晶之さんです。

 

愛媛県で生まれ育った大本さん。早稲田大学卒業後、丸紅へ入社し、中米、中近東、アメリカをはじめ、海外のさまざまな国で事業開発に携わってきました。そんな大本さんから冒頭に頂いたのは「世界を目指そう」というメッセージです。

「これまで多くの事業に携わり、世界のマーケットを見てきましたが、日本のマーケットは決して大きいものではありません。最初から世界を目指すのは難しくても、その意志を持って事業を考えると、ビジネスに広がりが出ると思います。また、私の経験上、世界でビジネスをするのは大変で、辛いことだらけ。でも、自分自身を成長させてくれた経験の連続でした。世界を目指す気持ちを持つことで、みなさんの人生を豊かにしていってほしいと思っています」。

 

今回の土曜講座では、3つのテーマをご用意いただきました。
最初のテーマは「総合商社の丸紅と次世代事業について」。今や世界で46,000人の従業員を持つ一大商社・丸紅株式会社の成り立ちを、事業内容の変遷と合わせて紹介していただきました。

 

続いてのテーマは「自らのキャリアを通して経験と学びの共有」。大本さんご自身の多彩かつ個性的な経験と、そこから得られた気付きと学びについてお話しいただきました。

丸紅に入社後、大本さんが最初に携わったのは、中米・コスタリカでの地熱発電所開発事業でした。入社2年目ながら現場のマネジメントを任され、「当時はメールもまだない時代。FAXで東京の本社とやり取りをしながら、現地スタッフとの折衝をはじめ、さまざまな経験ができました」。続いて日中米合弁で行われた中国の石炭発電所開発事業、日英トルコ合弁でのガス焚き発電所開発事業と、海外に駐在しながら多くの開発事業に携わる中、事業を進める上で大切なことの一つは「信頼関係の構築」だったといいます。

「チームでの仕事においては、自分の強みを構築し、情報が自分を通して流れるように努力をすることが重要だと感じました。たとえば事業開発では、辞書のように分厚い契約書が付き物。私はそれを隅々まで熟読し、把握することで『契約のことなら大本に聞けば分かる』というブランドを確立し、自分の強みとして現場での信頼関係を構築していきました」

その後大本さんは、約2年間、アメリカのハーバードビジネススクールに入学。2年間に渡って通うこととなったビジネススクールでは、非常に多くの学びがあったといいます。そのうちの一つが「他人と違う自分の意見を持つ」ということ。

「アメリカでは、意見を言うことでリスペクトされると気付きました。人と違う自分の意見を持っていると尊敬される。人の意見に同調せず『I disagree.』と言っていいんだと気付いた瞬間、すごく気持ちが楽になりました。同調の文化の中で生きている日本人には抵抗があると思いますが、『他人の頭を使う』こと、自分の考えと他人の考えの違いを融合し、昇華することができるようになれば、アイデアも広がると思います」

ハーバードビジネススクール卒業後は、米国の大手コンサルティング会社・マッキンゼーアンドカンパニーへ入社。退社後、丸紅に再入社、英国に本社を置く電力販売企業「Smartestenergy」の社長を務めます。そして、現在も籍を置く丸紅の次世代事業開発本部長の任に就き、スマートシティ・インフラやヘルスケア、eスポーツ等の分野で、さまざまな次世代事業を展開しています。講演では、デジタル母子手帳や写真の表情再現サービス等の事例についてもご紹介いただきました。

「次世代事業開発に必要なのはイノベーション。日本語に直すと『新結合』という人もいるように、イノベーションは新しい組み合わせで起こるものです。『AかBか』ではなく『AもBも』という矛盾をあえて整理しない新しい感覚が、イノベーションへの切り口ではないかと思います」

 

最後にお話いただいたのは「ビジネスの素晴らしさについて」

「現在多くの次世代事業に取り組んでいますが、自分の子供の世代、孫の世代にとって善い社会・善い事業を創ることに携わっていると実感した瞬間、大きなやりがいを感じます。また、ビジネスで訪れたさまざまな世界の現場で、心に響く言葉をたくさんもらい、それを原動力に今日までやってきました。そうした多くの経験と共に、自分自身の成長を積み重ねてこられたことが、私が思うビジネスの素晴らしさです」

 

自分のポテンシャルを信じる!開志生へのメッセージ

講演を終え、質疑応答のコーナーでは、学生からさまざまな質問が寄せられました。

大平涼介さん(事業創造学部2年)「過去のキャリアについてお話いただきましたが、大本さんがキャリアを形成する上で意識していたことを教えてください」
大本さん「自分自身の『きっとここまでしかできないだろう』と思い込みの枠を外すこと。過去に囚われず、目標に向かって『やるぞ!』と考えること、自分のポテンシャルを信じることです。『自分には場違いかもしれない』と思うような場所へ果敢に挑戦する発想と、失敗を自分の中に落とし込み、前向きにとらえることも大切だと思います」

 

上野真路さん(事業創造学部2年)「新型コロナウイルスの影響で社会が大きく変化しましたが、丸紅社におけるコロナ禍の経営対策があれば教えてください」
大本さん「丸紅は多くの事業を運営しているので、全体として収益が下がることはありませんでした。どこか一部が影響を受けても、別の事業でカバーできるのが総合商社の強みです。また、アフターコロナの社会では、消費の中心となるミレニアル世代・Z世代の方のニーズをつかむことが重要だと考えています。過去の常識が通用しない次世代の消費者が何を欲し、何を感じているかを捉え、新たなビジネスを創ることこそが、成長の鍵になると感じています」

 

最後に、大本さんへ質問を投げかけた学生に、講演後の感想を聞きました。

事業創造学部2年 大平涼介さん
「大本さんが、過去のあらゆるキャリアを通じてどんなことが学べたか、自分自身でしっかりと理解されていることに驚きました。どんな時でもベストを尽くし、反省と改善を繰り返し行ってきた結果の賜物だと感じ、感銘を受けました」

 

事業創造学部2年 上野真路さん
「日本の5大商社の一つである丸紅がどう次の時代に対応していくのかを大本さんの講演から読み取ることができ、大変貴重な経験になりました。顧客が何を考え、何を欲しているのか、そして自社が何を提供するのかを明確にとらえていたのが印象的でした。今回の講義で聞いたことを生かし、将来の自分の事業に繋げたいです」

 

世界を相手にしたビジネスに携わり、多くの経験から得た学びや気付きを、分かりやすい言葉でお話いただいた今回の土曜講座。世界中で新たな価値の創造を続けてきた大本さんだからこそお話できる貴重な経験を知ることができ、非常に有意義な時間となりました。

 

次回の土曜講座は、7月17日(土)。
第一工業製薬株式会社 代表取締役兼社長 坂本隆司様が講師を務める予定です。

▷前回の土曜講座レポートはこちら

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