<第3回 開志コラボシンポジウムレポート>「新しいビジネス形態 個人の働き方と企業の形」ゲスト講師:ランサーズ株式会社 CEvO 根岸泰之さん

 

本学における産学連携プロジェクトの一環として、産業界で活躍するビジネスパーソンを講師に招いて実施している「開志コラボセミナー」。今回は3月22日(月)、オンライン配信のシンポジウム形式で行った講座の模様をレポートします。

第3回の講師は、日本最大級のクラウドソーシングのサービスを運営する、ランサーズ株式会社 CEvO 根岸泰之さん。フリーランスのライターとしてキャリアをスタートし、多様なメディアで執筆や広告宣伝に着手。2013年4月ランサーズ株式会社に入社し、現在はCEvO(チーフエヴァンジェリストオフィサー)としてスマート経営を開展しています。

今回のテーマは「新しいビジネス形態 個人の働き方と企業の形」。新型コロナウイルス感染拡大により大きく変わった働き方。新しい働き方に変わったことによる企業や個人のメリットは?ランサーズが提供するサービスによりどのように働き方が変化していったのか?今まさに直面する、世界規模での変化を語っていただきました。

 

人と人、人と企業を繋ぐランサーズ

 

誰もが自分らしく働ける会社をつくる、をビジョンに事業を展開するランサーズ株式会社。基本的には、個人と企業をマッチングするオンライン完結型の受発注プラットフォームを運営しています。個人のメリットとしては、自分の能力を生かして好きな時にいつでもどこでも働きたい分だけ働けること。発注者となる企業側のメリットとしては、社内で足りないリソースや、スキルを外部のプロ人材にいつでも依頼できること。
「オンラインなので、日本中、場合によっては世界中の色んな所に住んでいる方のスキルを獲得することが可能です」。
内容としては、オンラインで可能な仕事、あらゆる職種スキルが展開されているといいます。また個人向けには、フリーランスベーシックスという個人が自分でやるときに必要なサポート機能をキュレーションしたポータルサイトを運営。さらには、新しい働き方ラボという全国のフリーランスや副業している方のコミュニティを展開しています。「延べ6000~7000以上の人が、スキルアップの勉強会を開いたり、お互いが仕事を受発注したり、一緒に何かをはじめたりと色んな展開が広がっているのです」。

 

「働き方」の変化

数年前より、ITによって大きく変わった“働く”の形。2020年、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言発令後、さらに変化が加速したといいます。「オンライン前提の時代に一気に突入しました。緊急事態宣言が発令された直後から、テレワークをせざるを得ない社会状況になったのです」。企業の変化としては、クラウド化、オンライン化と固定費の流動化をテーマに動きが加速。一方で、個人の変化としては、出勤不要=都心での居住の意味がなくなったことによる都市圏離れ。特に東京都は、転入より転出の方が多くなったというデータもあります。

最新の調査では、労働人口の4人に1人はフリーランス。副業も含め、複数の収入源を持つ働き方へと展開しています。新しい働き方、フリーランス化、副業化することが劇的に加速しているといいます。

 

新しい企業運営のメリット

新しい時代の経営の在り方として企業側のメリットは、業績向上に繋がるようなポイントが2つ、固定費などの費用の抑制に繋がるポイントを2つ。ランサーズではこれをスマート経営と呼んでいるといいます。
「業績向上に関しては、推進スピードの向上とオープンイノベーション。費用の抑制に関しては、固定費の流動化とコスト最適化があげられます」

例えばある企業では、社員32名、臨時従業員30名と、フリーランスや副業の方と一緒に事業を展開し。それにより、固定費が以前に比べ77%の削減、仕事自体もスムーズに進み、新規事業にも着手。リソースを確保できたことで、急成長を遂げた事例もあるといます。そして、ある上場企業ではプロジェクト単位で動くことで働き方改革を実現。社外の人だからこそ新しいアイデアがあると、事業の中枢を任せているといいます。「推進スピードの向上、オープンイノベーション、固定費の流動化、コスト最適化。業績プラスに働く部分は増加させ、マイナスの方は抑止できる。これが新しい企業の在り方として一般化し、メリットがあるから広がっている状況です」。

 

個々の成長と変化

自己成長・自己変革は、時間の使い方を変える、場所を変える、付き合う人を変える。この3つで個人は成長し、変化を遂げていくといいます。「フリーランスや副業などで個の働き方をすればするほど、自分を変えていける。成長させていける。そういった働き方が個人のメリットだと考えます」。そして、副次的なメリットとしてあげられるのが、安心材料にも繋がる収入源の複数化と、会社という看板に頼らないセルフブランド力の向上。ネットワークの拡大により可能性が広がるメリットもあるといいます。

 

“働く”の多様化が進む今

緊急事態宣言が発令された瞬間から、それまでの一般常識が逆転し “働く”の多様化が進行。基本的にはテレワーク、会議はzoomなどのツール、やり取りはクラウドツール。オンラインが前提へと変化しました。「あと10年はかかるかなと思っていたものが、1年で進んでしまった、進まざるを得なくなりました。一気に認識を変えないと時代に取り残されてしまう、そういった方向になっていると思います」

そして、求められているのがスマート経営。流動的な組織づくりとクラウド化です。いかに固定費を抱ええずに流動的に経営していくのか。クラウドで管理しDX化へと突入した今、早急に着手しないと取り残されてしまいかねません。個人に至っては、自立が求められ、自立がしやすい時代へ。一方で、やりたいことをやるなら自己責任という時代に変化しています。
「今までとは違う変化が必要なので大変さもありますが、総じて個人にも企業にもこの新しい形はメリットの方が大きいです。やればやるほど今までとは違うスタイルをつくっていける時代になっているのではないかと考えています」

講座終了後には、本学 事業創造学部の教員を交えてのパネルディスカッションを実施。
教員の視点からさまざまな意見が飛び交い、「新しい働き方」への理解を深める1日となりました。

今後も開志専門職大学では、さまざまな方をお招きしてのコラボセミナーを開催予定です。