

開志専門職大学
新潟アニメーションについて教えて下さい。
野沢康彦
主に作画担当の方が描いた絵をコンピュータに取り込んで、色を付けていく「仕上げ」というパートを担当しています。


開志専門職大学
具体的にどういったものに色をつけるのですか?
野沢康彦
例えばですがキャラクターの絵をコンピュータに取り込んで、そこに描かれている髪、肌、目、あるいは身に付けている服や、靴、帽子など、あらゆる素材の色をつけていく、いわゆるデジタル処理の工程を担当しています。


開志専門職大学
描かれているもの全てですね!その他にはどういったお仕事がありますか?
野沢康彦
作品の絵を描く作画から声優さんたちが声を吹き込む録音も含めまして、全ての作品が完成するまで、それを全てコントロール、管理する業務も並行して行っています。

野沢康彦
新潟アニメーションはまだまだ新しい会社ですので、スタジオとしての基礎を確立している段階です。たくさんの作品に関わり合いながらスタッフの実践力アップ、今これに努めているという状況です。



開志専門職大学
新潟でアニメ事業を行う理由について教えて下さい。
野沢康彦
原画、動画、それぞれコンピュータを活用して絵を描くというケースもありますが、一枚一枚の紙に手で描くというケースが圧倒的に多いというのが実情です。


開志専門職大学
今後はどうなっていくのでしょうか?
野沢康彦
東京にアニメ制作のプロダクションの約9割が集中しているというデータがありますが、絵を描く部分は近い将来間違いなくデジタル化に進んでいきます。

野沢康彦
今まで東京でしかできなかった制作というのが、地理的な問題、距離的な問題を越えてどこでも対応できるという時代がやってきます。


開志専門職大学
それで地方都市である新潟に会社があるんですね!
野沢康彦
家庭の事情でどうしても地元から離れられないという方々もたくさんいらっしゃいます。また今業界の第一線で活躍している方々の中でも、いずれは、家庭の事情でやはり地元に戻らなければいけないという方々もいる。そういう話もたくさん聞いています。

野沢康彦
そういう方の技術、経験を活かせる場があればそのキャリアもずっとまた活かせますし、会社にとってもそういう方の技術と、その技術をスタッフに伝えていただけるというメリットがでてきます。


開志専門職大学
会社にとっても、働く方にとってもどちらにもプラスですね!
野沢康彦
雇用の場を作るということはその人の人生そのもの、ひいては、地域の活性化に繋がるものだという風に考えています。


開志専門職大学
新潟はマンガ大国と呼ばれていますよね?
野沢康彦
赤塚不二夫先生、高橋留美子先生など有名なマンガ家さん、新潟ゆかりのマンガ家さんがたくさんいらっしゃいます。そして今なお、毎年のように新しい才能がデビューしつづけています。


開志専門職大学
今もどんどん増えているんですね!
野沢康彦
また全国屈指の規模を誇ります同人誌即売会、「新潟コミックマーケット」通称「ガタケット」は、県内はもとより全国から集まってきます。


開志専門職大学
いつからやっているのですか?
野沢康彦
もう既に35年を超えるイベントとなっています。そんな中からプロのマンガ家として巣立っていった方々もたくさんいらっしゃいます。そんな新潟の文化、風土を背景に新潟市ではマンガ・アニメを活用したまちづくり構想という支援事業を様々展開しています。


開志専門職大学
マンガ・アニメの活用ですか!
野沢康彦
例えば全国から応募作品が集まる「にいがたマンガ大賞」というコンクールを開催したり、毎年10月に全国からファンが約5万人も集う「新潟アニメ・マンガフェスティバル」を開催するなど、マンガ・アニメを活用して、新潟の街をとにかく元気にしようという取り組み、支援策というものは非常に充実をしています。


開志専門職大学
5万人も集まるとは驚きました。
野沢康彦
文化面もそうなんですが産業の発展、振興という部分で、新潟アニメーションが少しでも貢献出来ればという風に考えています。



開志専門職大学
新潟アニメーションの将来の展望を教えて下さい。
野沢康彦
新潟アニメーションは先程申し上げた通り、まだ基礎を確立していく段階かと思いますが、将来的にはオリジナルストーリーをプロデュースし、発信していきたいと考えております。


開志専門職大学
完全オリジナルのアニメですね!
野沢康彦
新潟を舞台にした作品を発表することでそこの作品に登場した場所をファンたちが訪れる、いわゆる聖地巡礼というブームに繋がっていけば最高という風に考えております。

野沢康彦
狙ってできるものではありませんし、ハードルは非常に高いものだと思います。ですがスタッフと一緒に知恵を出し合いながら、なんとかこれを実現したいと考えています。



開志専門職大学
最後に開志専門職大学の学生に伝えたいことはありますか?
野沢康彦
ロボットアニメが好きとか、ラブコメが好きとかそれぞれ興味のある分野はいろいろ持っているとは思います。ただこれは仕事となると全く話は違ってきます。好きなジャンルの作品だけに関わるということはまずありえません。


開志専門職大学
もちろんそうでよね。
野沢康彦
例えば、「あの作品のあのシーンのような表現をしたい」という指示が出たときに、すぐにその映像が頭の中に浮かぶ、これは非常にベターなことです。そのためには色々な作品を見る必要があります。


開志専門職大学
様々なジャンルの作品に触れることが大切なんですね。
野沢康彦
単に眺めればいいっていうものではありません。自分ならこういう表現をする、あるいはこういう角度で描ければもっと心に突き刺さるんじゃないかとか常に問題意識を持ちながら見るということが重要になってきます。

野沢康彦
問題意識を持ちながら見るということは自分の感性の訓練に繋がっていきます。アニメ作品ばかりではなくて、映画を見るとか小説を読むとか色んなジャンルにとにかく触れること、アイディアの引き出しはたくさんあって絶対損はありません。


開志専門職大学
マンガやアニメだけではなく、様々なものから学べると。
野沢康彦
色々な物に触れる機会をとにかく多く作って欲しいと思います。好きだから、興味があるからその分野を学びたい、関連した職業に就きたいと考えるんだと思います。「好きだ」という情熱、これが全ての行動の原点だと思います。その情熱を忘れないで欲しいなと思います。

野沢康彦
好きなことにとことん打ち込む、これを忘れないでいって欲しいと思います。次の時代を創るのは若いみなさんです。若い力大いに期待しています。一緒に仕事ができれば最高です。

特別講師 野沢康彦氏
1960年生まれ、新潟市出身。明治大学経営学部卒業。2013年1月「新潟市マンガ・アニメ情報館」、「新潟市マンガの家」開館に向けた準備に着手し、運営に関与。2018年10月「新潟アニメ-ション」代表取締役に就任し、現在に至る。

