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プロジェクトリーダーとして沖縄のホテル開発に貢献。新しいブランド拡大に奮闘中 バン・ジフン氏

2019年10月25日、ハレクラニホスピタリティのDNAを継承する新しいブランドとしてオープンしたホテル、ハレプナ ワイキキ バイ ハレクラニ。三井不動産株式会社の子会社である、三井不動産アメリカの100%子会社のハレクラニ コーポレーションが所有するホテルです。ここで、セールス&マーケティング部本部長の肩書きを持つバン・ジフンさんに、ハワイで働く魅力について語っていただきました。
毎日、人の笑顔を見ながら、自分が笑顔になれる職種って、思いの外、少ないのです

開志専門職大学

ホテル業界で働こうと思った理由を教えてください。

バン・ジフン

小学校1年生の時、私は駐在の家族として韓国から日本にやって来ました。父が貿易や観光の仕事に携わっていたこともあり、父の出張のついでに家族のバケーションという形で、普通の子どもよりホテルに泊まることが多かったのです。

バン・ジフン

子どもながらに「ホテルの人って良くしてくれるな」「ホテルって特別な場所だし、行けばみんな笑顔」と好印象だったのを覚えています。

開志専門職大学

ホテルって確かに特別な場所ですよね。

バン・ジフン

そうなんです。そして、高校1年の時にインターナショナルスクールの交換留学生で1年間ロンドンに留学した時に、ホテル業界で働こうと決意する経験をしたのです。

開志専門職大学

ロンドンで何があったのですか?

バン・ジフン

学校の宿題の一つとして、プロにインタビューするという課題が出されたのです。いろいろなところに電話をしたものの、高校生だからと邪険にされ、その中で唯一、快くインタビューを引き受けてくれたのが、あるホテルの総支配人でした。

開志専門職大学

無事にインタビューできたのですか?

バン・ジフン

ルネッサンスホテルの総支配人のピーターソンさんにインタビューできました。高校1年なので緊張でガチガチ。大きなオフィスに招かれてのインタビュー。ホテル業は実は他の業種と違うんだよという話をしてくださいました。その1つが、毎日人の笑顔を見ながら、自分が笑顔になれる職種って、思いの外少ないんですよということです。

開志専門職大学

確かにホテルでは皆笑顔ですよね。

バン・ジフン

その言葉が印象的で、勝ち抜いて偉くなるのも大事だけど、人の笑顔を見ながら自分が笑顔になれる仕事っていいなと、この言葉が心に残ったのです。その日から、いつかそんな笑顔にあふれたホテルを自分で所有したいと夢は膨らみました。 1988年、今から32年前のその日から気持ちは今日までぶれていません。

ホテル業界で生きるという夢を見つけ、全くぶれずにその道を進む

開志専門職大学

大学では何を勉強されましたか?

バン・ジフン

大学はホテル経営とレストランマネジメントが強いコロラド州のユニバーシティーオブデンバーに入学。早速、1年生の時から積極的にインターンシップに申し込みホテルで働きました。

開志専門職大学

大学の1年でインターンシップは早いですね。

バン・ジフン

はい、とにかく現場を知りたかった。最初は冬休みの2カ月、ロンドンで知り合ったピーターソンさんの紹介で、ルネッサンスホテル・ イン・ ソウル。2年目はルネッサンスホテル・イン・サッポロ。そして、3回目のインターンシップがハワイのロイヤルハワイアンホテルだったんです。

開志専門職大学

ここで、ハワイと繋がったのですね。

バン・ジフン

3回目のハワイでのインターンシップで頑張っていたら、ロイヤルハワイアンホテルの総支配人から「卒業したらどうするの?」と聞かれ、「実はホテルマンを目指しているのです」と言ったらすぐに就職が決まりました。当時のインターンは無給ですが、朝から晩まで一生懸命に働く姿を見てくれていたのです。

開志専門職大学

高校時代の夢が叶った瞬間ですね!

バン・ジフン

なりたいものが決まっていて目標があったので、全くぶれずにそれを目指してやってこれた。それがまた楽しかったのです。

開志専門職大学

学生のうちにやっておいたほうがいいことはありますか?

バン・ジフン

経験者としてのアドバイスは、目標をちゃんと持った4年間にしてくださいということ。あっという間に4年は過ぎてしまいますよ。

開志専門職大学

目標を待たないと、就職活動にも差が出そうですね。

バン・ジフン

野球で例えると、シーズンに入る前のキャンプがあります。シーズンがメインだと思っているから、キャンプをおろそかにしてしまうと、その結果、本番のシーズンで実力が発揮できない。

開志専門職大学

プロ野球での例えはわかりやすいです!

バン・ジフン

就職も同じで、4年間の肥やしが結果として希望通りの就職につながる。大学在学中に何をするかで結果は歴然と違うのです。この4年間に何をするかで他の学生との差をつけることができる。あなたがOne of Them になるのか、Only Oneになるのかが、この4年で決まるのです。

開志専門職大学

なるほど!Only Oneになりたいですね。

バン・ジフン

就職活動でも、他の生徒より頭1つ2つ飛び抜けることができます。大学時代の過ごし方は、人生の岐路に関わります。一流大学に行った人に差を付けられるのは、この4年。

開志専門職大学

出身校って日本では就職に影響します。

バン・ジフン

僕の通った大学は一般的には有名ではありませんでしたが、ホテル学科では当時は全米ベスト3でした。今、有名大学のホテル学科で学んだ人に比べて、自分は劣っているとは全然思いません。

バン・ジフン

何故なら、充実した大学生活を過ごすことができたからです。つまり、どこの大学に行ったのかは、アメリカでは関係ないし、聞かれることもあまりありません。4年間で何を学び得たかが大事です。

自分のホテルをより多くの人たちに選んでもらえるように、戦略的に計画的にマーケティングを行う

開志専門職大学

今のお仕事について教えてください。

バン・ジフン

営業企画部長というのが日本語に訳した肩書です。簡単に言うとホテルに部屋が100室あったとしたら、その100室をどういう風に埋めていくのかということを戦略的、計画的に企画し、ビジネスパートナーに売ってもらう、または自分たちで売る。そういった仕事です。

開志専門職大学

どういたった方がビジネスパートナーなのですか?

バン・ジフン

旅行会社やクレジットカード会社、そして様々な企業の方達が主なパートナーです。また、日本航空(JAL)や全日空(ANA)などの航空会社にも、航空券とホテルのパッケージで売っていただくこともあります。

開志専門職大学

自分たちではどのように売るのですか?

バン・ジフン

自社のウェブサイトからダイレクトに予約をしてもらう方法が、ダイレクト販売です。この場合、しっかりマーケティングをして、企画したものを自社のホームページや雑誌やメディアを通じてお客さまに伝えるようにします。

開志専門職大学

ホテルを選んでもらえるようなPR活動も大事なんですね。

バン・ジフン

そうです。他にもテレビで取材をしていただいたり、著名人が利用してくださることでインパクトを与える。そのようにして、ホテルの素晴らしさや信頼性を発信します。

開志専門職大学

信頼性とはどういうことですか?

バン・ジフン

一般的に著名人やリピーターの方が多いホテルは、信頼できるホテルだと考えていただけます。営業として、ただ単に部屋を埋めるのではなく、どんな方に来ていただけるのかが、中長期的に良いイメージ作りに貢献します。そして、来ていただいた方が満足してお帰りになられ、リピーターになってくださることがとても大事です。

バン・ジフン

どんな仕事でもそうですが、一回だけ売ることはできても、2回3回とお客様に利用してもらうことは、なかなか大変なこと。また帰ってきていただくことが重要なのです。

開志専門職大学

お仕事でのご苦労は?

バン・ジフン

苦労というか、人と接する仕事なので、やはり人間関係がとても重要です。苦労と言うよりは、気を遣います。だからこそ、接客業が本気で好きでなければ、ホテル業界には向かないでしょう。

バン・ジフン

また勤務時間も9時に始まり17時に終了ではありません。ホテルは24時間営業。勤務時間は他の職種より長いかもしれません。会社に拘束されていると感じたら、この仕事は長続きはしないでしょう。

開志専門職大学

この仕事の醍醐味は何ですか?

バン・ジフン

まずはグローバルであること、たくさんの人に出会えることです。ハワイという土地柄、世界中からお客様が来ます。年間日本人が160万人、全体で900万人もの人がやって来ます。多様性のある旅行者が訪れるハワイは仕事をしていて、楽しいですよ。

開志専門職大学

語学面でのアドバイスをお願いします。

バン・ジフン

実は、中学1年まで全く英語ができず、ABCの次のDがでてこなかった(笑)。小学校1年で日本に来たときも、日本語が全く分からなかった。もちろん、「あいうえお」も。インターナショナルスクールに入学したけど、ぜんぜん英語ができなかった。私は誰よりも語学が出来ないことを肌身に感じた人間なんです。

開志専門職大学

そのような状態からどうやって、母国語の韓国語を含め、日本語、英語が話せるようになったのですか?

バン・ジフン

語学を学ぶための極意は、ヒアリング!これができないと喋れません。これを克服するには聞くしかない。英語であれば、生の英語を聞くのが何よりも重要です。映画だったり、歌だったりどんどん聞いて、英語に慣れていく。話すことは間違ってもいいんです。

開志専門職大学

会話はできなくてもいいのですか?

バン・ジフン

話すのは50%でもいい。でも、聞くのは100%聞けないと仕事に影響します。会話については時間が解決してくれるはずです。

開志専門職大学

聞く力の方が大事なのですね。

バン・ジフン

まずは興味を持って、生の英語を聞くことにチャレンジしてください。日本語の習得は、韓国語と文法が似ていてイントネーションが同じなので、覚えやすかったと思います。人の動きと状況を見ながら日本語を聞くと、大体何を言ってるかわかりました。

開志専門職大学

韓国語と日本語は似ているとよく言われていますね。

バン・ジフン

韓流ドラマが日本で人気だったのは、イントネーションが一緒だったので耳なじみが良かったからでしょう。

開志専門職大学

英語を操れるようになるにはどれくらいかかりましたか?

バン・ジフン

英語は大変でした。小6で卒業後、父の意向でアメリカに1年留学させられました。軽い気持ちで一人、アメリカのカリフォルニアのハンティングトンビーチにあるホストファミリーの家に滞在しながらの語学留学。ところが…

開志専門職大学

ところが?

バン・ジフン

1984年、当時のハンティングトンビーチには、ほとんど東洋人がいなった。それに全く英語が分からなかった。1年いても分からなかった。

開志専門職大学

いつ分かるようになったのですか?

バン・ジフン

帰国後、2年ほどしてからです。日本に帰りインターナショナルスクールに入学しました。1年間わからないながらも、語学留学時代に英語を聴き続けたことがよかった。ようやく、芽が出ました。アメリカ留学の1年間がついに役に立ちました。

開志専門職大学

いつ英語が分かるなと自覚したのですか?

バン・ジフン

その日の朝を覚えています。突然、英語で話ができて、授業で先生の話が聞き取れるようになったのです。帰国して、2年ほどかかりましたが、遂に英語も克服しました!

自分の経験は際立っていると思う。それを皆さんに講義で伝えたい

開志専門職大学

それにしてもグローバルな青年時代でしたね。

バン・ジフン

小1で日本語が分からないのに日本に来て、小学校にポンと入れられ、英語が分からないのにカリフォルニアの英語の学校に行かされ、精神的にはかなり強くなったと思います。小さい時にガツンとそういう経験をしていると、苦労を苦労と思わなくなるかもしれませんね。

開志専門職大学

「若い時の苦労は買ってでもせよ」という格言もありますね。

バン・ジフン

若い時にたくさん経験したことは、人生の邪魔にはならないのです。今、この経験や苦労が自分にとって得だと思える人、良かったと思える人は、次のステップへのつながり方が全然違うはずです。

開志専門職大学

苦労をネガティブに捉えないのですね?

バン・ジフン

ゴールがちゃん見えているから、途中の道のりは関係なくて、「そこに行けるんだ」、「あそこに行くために今こういうことを経験しておいて良かった」と思うことが大事です。

開志専門職大学

何でも前向きに考えろということですね?

バン・ジフン

今の苦労や失敗は、次のレベルに段階を上げるためのワンステップと考えられるようになると、苦労とかいろんな経験が、今できているんだと感謝の気持ちに変わります。「苦労」を「感謝」に変えていく心の持ち方が大事です。

開志専門職大学

仕事面でのこれからの目標は?

バン・ジフン

ホテルを持ちたいという気持ちは変わりませんが、ハレクラニで働いていて、もっと具体的なゴールができました。

開志専門職大学

どのようなゴールですか?

バン・ジフン

人を育てることです。世界に羽ばたくようなホテルマンを育成できるようなホテルにしたいのです。

開志専門職大学

どういうことでしょう?

バン・ジフン

将来ホテルマンになりたいと思っている人たちに、夢を与えたいです。ホテルマンという職種が、どんなに素晴らしい職種で、将来的に実りがあり、魅力的な仕事なのかということを伝えながら、共に働く仲間を増やしていきたいのです。

開志専門職大学

ホテルマンを仕事を通して育成するのですね?

バン・ジフン

ずっと我々のホテルで働いてほしいということではなく、ここで培ったものを世界のホテルへと持ち込んで、羽ばたいていってほしいのです。ホテル学校ではないのですが、「君は〇〇ホテル出身なんだってね?」「ああ、だからあなたは優秀なんですね」と元従業員が言われるようなホテルを、小さくてもいいから、将来は自分で作りたいのです。

開志専門職大学

開志専門職大学の学生に伝えたいことはありますか?

バン・ジフン

留学を語学を学ぶためだけの目的でなく、文化や人々に触れ会うことを目的にしてほしいですね。直接、肌に感じてぶつかりあうことが大事。どこの国でもいいので、自分のことをよく知るためにも、1度海外に出てほしい。例えば、親元を離れて家を出ると、家の良さが分かり、親のありがたみが分かるのと同じです。

開志専門職大学

そこから離れることで良さを実感できるのですね。

バン・ジフン

そこにいる価値を見定めるためにも、外に出るということが大事です。それができると、さまざまなことを多方面から見ることができる人間になれるでしょう。教え込まれたことだけが全てではなく、1度外から客観的に自分を見られるようになると、多くの機会に恵まれ始めるものです。

開志専門職大学

学生の内にやっておくべきことは何でしょうか。

バン・ジフン

大学生活の向こう側にある就職を見据えた4年間過ごすことをお勧めします。そのためには、4年間でやらなければいけないことと、大学1年2年3年4年と分けてやること、つまり中長期的な目標を持つことが大事です。

開志専門職大学

2種類の目標ですか?

バン・ジフン

まずはこの1年間で、これを成し遂げるんだという目標を持つことです。そうして過ごせば、4年後には充実感が得られます。そんな4年間を過ごせば、頭1つ2つ先、何もしていない人より前に出られるはずです。

開志専門職大学

就職に有利ですね。

バン・ジフン

最近では企業も大学名でなくて、個性の光る人を求めています。例えば、「世界一周を一人でしました」など、そういった経験値があるかどうかが大事。学力の差はあっても、それ以外で前に出ることを戦力的にやらないと、みんなと同じことをしていたらダメです。学力に勝る経験を積みましょう。

開志専門職大学

開志専門職大学ではどんな講義をしていただけますか?

バン・ジフン

個人的なエピソードも交えた話をします。私の人生、振り返ればたくさんの挫折がありました。幼少期、学生時代、社会人の折々で味わってきた挫折。 ちゃんとした目標があるがゆえに、そのたびに得られたものがあり、また立ち上がって前に進むことができました。そんな経験を踏まえた人生の歩みを紹介したいと思います。

開志専門職大学

その挫折を乗り越えられて、一流のホテルマンになられたのですね?

バン・ジフン

決して優秀な学生ではなかったのですが、良いことも悪いことも含め、何でも1番前に立ち、率先してやってきました。そういった経験とホテル業界のことをリンクさせて話させていただきます。

特別講師  バン・ジフン氏
ハレプナ ワイキキ バイ ハレクラニ 
セールス&マーケティング部 本部長

韓国出身。小学1年の時、父親の仕事の関係で日本(大阪)に移住。小学校卒業後1年間、カリフォルニアへ語学留学。その後、東京のインターナショナルスクールに入学。高校1年のとき、交換留学生としてイギリス・ロンドンで過ごす。ホテル運営を目指し、デンバー大学でホテル経営とレストランマネジメントの学位を取得。卒業後は、研修先だったハワイのロイヤルハワイアンホテルに就職。それから11年間、旧 スターウッド・ホテルズ・ハワイ の様々なエリアでオペレーション、セールス、マーケティングなどの経験を重ね、東洋人初のリージョナル・ディレクター・オブ・マーケティング&ストラテジック・プランニングとして、当時13あったスターウッド・ホテルズ・ハワイの統括エリア部長に就任。 その後、念願のホテル運営のノウハウを取得するため日本のアセットマネジメント会社に就職。プロジェクトリーダーとして沖縄のホテル開発に貢献。ハワイに戻った後は、ハレクラニのアジア営業部長の職を経て、現在はハレプナ ワイキキ・バイ・ハレクラニの営業・マーケティング部長としてハレクラニの新しいブランド拡大に奮闘中。

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