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インスタグラム国内有数の専門家。 山田智恵氏

ソーシャルメディアは自分が好きなことで生きて行くための武器になります
開志専門職大学で講師を務める株式会社ダイジョーブ 代表取締役、山田智恵さんに、高校から大学時代、そして社会人生活のお話を伺いました。また、開志専門職大学で学生たちにどのようなことを伝えたいのか、高校生にやっておくべきこともお聞きしました。
カッコ良いものを探していた高校時代

開志専門職大学

広島で生まれて関東圏を中心に引っ越しばかりされていたのだとか。高校はどこだったのですか?

山田智恵

高校に進むときは千葉の船橋の方に住んでいて、市川にある女子高に入学しました。でも、途中で東京に引っ越したので、片道2時間かけて通学していました。勉強は電車の中でやっていましたね。

開志専門職大学

その高校を選んだのに理由はあったのですか?

山田智恵

私は帰国子女で、中学2年のときに3年間いたアメリカから日本に帰ってきました。なので、高校受験に関する情報は少なかったため、先生に勧められた高校を受験したんです。

開志専門職大学

高校時代はどのような少女だったのでしょうか?

山田智恵

慶応義塾大学に憧れていたので、そこに入るための受験勉強を頑張っていました。

開志専門職大学

猛勉強されていたのですね。

山田智恵

「学年でトップになりたい!」と思っていました。でも、同じクラスにすごく頭の良い子がいたんですよ。

山田智恵

私は帰国子女で英語はできるのに、その子は海外生活経験がなくても英語もできて、私より成績はいつもトップ。私はその彼女を目標にしていました。ライバルみたいな感じですね。彼女がいたから私も頑張れたのかもしれません。

山田智恵

といっても、勉強ばかりやっていたわけでもなくて、女子高だし、年齢的にも「箸が転んだだけでも大笑いする」時代だったので、毎日、友達と大笑いして過ごしていました。

開志専門職大学

そのなかで熱中していたことはありますか?

山田智恵

何かひとつに打ち込んでいた、というのはなくて、何かカッコ良いものを見つけようとしていました。例えば、ラクロスというスポーツとか。当時は有名ではなかったのですが、『カッコ良いな〜』と思って、やっているところを探して見に行ったりしていました。

山田智恵

そんな感じで、いつも心がワクワクするものを探し回っていましたね。通学時間が長かったので、ひとつのものに打ち込む時間がなかったのかもしれません。

弁護士を目指して猛勉強していた

開志専門職大学

大学はどこに行かれたのですか?

山田智恵

憧れの慶應義塾大学に行きました。アメリカにいたころから『慶応大学はカッコ良い大学』と思っていたんです。

山田智恵

それに弁護士になりたかったんですよ。それで慶応大学の法学部に入りたいと思いました。実際、オープンキャンパスで見に行ったことがあるのですが、すごくワクワクして、『ここに通えたらすごいな』と思いました。

開志専門職大学

そうとう勉強されたのですね。

山田智恵

高校受験の時に、いくつか高校を受けたのですが、軒並み落ちてしまったんです。アメリカから帰ってきたばかりということもあり、受験勉強の仕方が分からなかったのです。

山田智恵

拒否される、ということを人生ではじめて経験した瞬間でした。すごく悔しくて、『2度と失敗したくない』と思って受験勉強を頑張りました。

開志専門職大学

苦労して入った大学生活はいかがでしたか?

山田智恵

チアリーディングのサークルに入ってエンジョイしていました。チアリーディングにカッコ良い先輩がいっぱいいたので、憧れたんです。あと、留学もしたかったので1か月、ロンドンに行きました。

山田智恵

もちろん、弁護士になりたかったので、司法試験のための塾にも通って勉強していましたよ。

開志専門職大学

弁護士になりたいと思ったのはいつからなんですか?

山田智恵

小学校のときでした。近所に自宅の一室を児童図書館にして開放している方がいました。その方が女性の弁護士だったんです。それで『弁護士ってカッコ良いな〜』と思ったんです。

開志専門職大学

いつも「カッコ良い」で考えているように思うのですが、山田さんの考える「カッコ良い」って何ですか?

山田智恵

何ですかね?(笑)。時代、時代で「カッコ良い」は変わるんですが、頭で考えたことではなく、心が動くことに対して正直でいたいと思っています。

開志専門職大学

大学時代ではどのような思い出がありますか?

山田智恵

高校、大学で仲良くなった友達とは今でも何でも話せる親友になっています。社会に出るとそんな友達はなかなかできません。何でも話せる友達の大切さを感じていますし、一緒に時間を過ごしたことは貴重なことだったんだと今、とても思います。

開志専門職大学

大学に入って良かったのは友人関係?

山田智恵

友達とは京都や沖縄に行ったり、海外に行くこともありました。高校時代は脇目も振らず受験勉強をしていましたが、大学時代は好きな本を読む時間が増えましたね。

山田智恵

そのときの若い感性で読んで『こんな世界もあるんだ』と衝撃を受けた本はたくさんあります。そんな本で得た知識は今でも私の財産になっています。

父親が解任。自分も無職になり挫折を味わう

開志専門職大学

それで卒業と同時に弁護士に・・・・・・。

山田智恵

なっていないんです!(笑)。司法試験の勉強をやってみたんですけど、私にはあわなくて。私より頭の良い人が猛勉強して受かるようなものですからね。私も頑張ってみたのですが、受からず。挫折経験になっています。

開志専門職大学

では、どこかに就職されて。

山田智恵

父親が会社を経営していたので、そこに入れてもらいました。だから、就職活動はしていないんです。でも、リーマンショックの影響で、父は会社から解任されてしまうんですよ。そのため私も解雇になりました。

開志専門職大学

社長なのに。それは大変でしたね。

山田智恵

32歳のときでした。それまで私はぬくぬくとした、お金の心配はしたこともない「お嬢様」だったんですが、そこから私の人生は大きく変わりました。

開志専門職大学

ドラマみたいですね。

山田智恵

仕事はしていましたが、キャリアになるようようなスキルはありませんでしたし、コネもありません。仕方がないので、ハローワークに行って失業手当をもらいながら細々と生きていました。『これからどうしょう』と絶望していました。

山田智恵

そんなとき、運よく印刷会社に拾ってもらって、働くようになりました。でも、世間知らずなので、会社の電話に出たこともなければ、見積もりの作り方も知りませんでした。

開志専門職大学

社会人の教育は受けていかったわけですね。

山田智恵

そうなんですよ。ダメ社員でした。印刷会社ではブランディング・チームにいて、企業のブランディングやコーポレート・アイディンティティを考えていました。何もかもが初めての経験。生きて行くのに必死でした。

開志専門職大学

どうやって逆転されたのですか?

山田智恵

私は『今のまま、他の社員と同じことをやっていても追いつけない。自分の武器を見つけないといけない』と思って、毎日、チャンスを見つけるとそれをノートに書く、ということをするようになりました。

開志専門職大学

と、いうと?

山田智恵

それが「ミラクルライン・ノート」というもので、毎日、自分が『チャンスだ』と思ったことを3つ書くんです。

山田智恵

最初のころは仕事の失敗しかなかったのですが、「失敗した」とは書かずに、それで何を学んだかを書いていました。すると1年で1000個になりました。

山田智恵

そのころには落ち込んでいた気持ちが前向きになれたし、チャンスを見つけられるようになって、人生も好転するようになました。

開志専門職大学

そして、印刷会社から転職されるんですね。

山田智恵

はい。最初、その印刷会社を選んだのは大企業だったからなんです。父の会社がなくなったことで『安定が大切』と思ったんです。

山田智恵

でも、入社半年経ったとき、東日本大震災が起こりました。私は『死んでしまうかもしれない』と思いました。そのとき、『安定を求めて大企業に入ったけれど、安定なんて幻想なんだ』と思ったんです。

山田智恵

『そんな幻想を求めるよりも、もっと自分がワクワクできる、カッコ良いものを選ぼう』と考えました。

開志専門職大学

なるほど。

山田智恵

そんなとき、友達からネット広告代理店なるほど。のオプトのソーシャルメディア事業部を紹介されました。

山田智恵

そのころはまだ、ソーシャルメディアは今のように盛り上がっていなくて新しい分野でした。『ここなら、実績のない私でも活躍できるかもしれない』と思ったんです。

開志専門職大学

新しい分野だから、誰もがスタートラインだと思ったのですね。

山田智恵

そうです。既存のサービスだと私は負けてしまいます。でも、『世の中に生まれたばかりの新しいサービスなら、私にも大きなチャンスがあるかもしれない』と思ったんです。

山田智恵

結局、オプトには4年いて、ソーシャルメディア事業部の部長になり、インスタグラムのマーケティングも担当していました。

ソーシャルメディアを上手に活用して欲しい

開志専門職大学

そして、独立されて「ダイジョーブ」を設立されるんですね。

山田智恵

印刷会社のブランディングも、オプトのソーシャルメディアも、ゼロから自分で何かを生み出す、ということはありませんでした。それをやりたいと思ったんです。

山田智恵

あと、オプトでは部長という管理職をさせてもらいましたが、世の中にはまだまだ女性管理職は多くはありません。もっと増えなければおかしいと思ったんです。

山田智恵

それで、リーダーシップに苦手意識を持つ女性のためのプログラムを作りたかったんです。

開志専門職大学

そこにも「カッコ良い」がある?

山田智恵

そうかもしれません。学生時代に追い求めていた「カッコ良い」を社会人になって見失っていたのかもしれません。

開志専門職大学

「ダイジョーブ」の業務内容を教えてください。

山田智恵

「ダイジョーブ」は、2016年に立ち上げた会社なのですが、大きく分けて3つの分野で仕事をしています。

山田智恵

・チャンスをつかむノート「ミラクルライン・ノート」を広める仕事。
・女性向けのリーダーシップ・プログラム「デザイニング・リーダーシップ」を提供する仕事。
・スタートアップ企業が提供する新サービスの市場創造、啓蒙活動を手伝う仕事。
です。

山田智恵

また、著書に『インスタグラム・マーケティング入門』(金風舎/20152年)と共著に『できる100の新法則 Instagramマーケティング』(インプレス/2016年)がありますが、慶應義塾大学院のビジネススクール時代にお世話になった恩師がいる明治学院大学で今、「Instagramのマーケティング」の論文をまとめているところです。

山田智恵

Instagramは従来のマーケティングをガラリと変えました。そのInstagramについての研究です。

開志専門職大学

開志専門職大学ではどのようなことを学生に伝えたいですか?

山田智恵

マーケティングの面白さとソーシャルメディアの可能性を伝えたいですね。何かキラリと光るものを持っている人がソーシャルメディアを通じで全世界に情報を発信しています。夢のあるツールです。そこに対して可能性を感じてもらえると嬉しいです。

開志専門職大学

というと?

山田智恵

ソーシャルメディアは自分が好きなことで生きて行くことができる武器になります。

山田智恵

例えば、作曲するのが好き、絵を描くのが好き、写真を撮るのが好き、という場合、それを仕事にしようと思うと、どこかに入って修行を積んでコツコツやるしかありませんでした。

山田智恵

でも、キラリと光るものをソーシャルメディアで発信するだけで仕事の依頼が来るようなことが起こっています。

開志専門職大学

それを論文も書かれるということで、科学的に話すことができるということですね。

山田智恵

そうです。企業もソーシャルメディアに取り組もうとしています。今までは一方通行で情報を発信することしかできませんでした。

山田智恵

ソーシャルメディアでは双方向でコミュニケーションすることが可能となります。そのため、今までとは違うやり方が求められます。

山田智恵

企業とユーザーがどのようにコミュニケーションを取って行くのか、それは時間もエネルギーも使うことです。

山田智恵

学生にとって自分でソーシャルメディアを活用するだけでなく、企業でどのようにソーシャルメディアを活用すべきかを考えることは、就職活動でも役に立つと思います。

開志専門職大学

確かにですね。

山田智恵

今の学生はソーシャルメディア・ネイティブです。そんな人達が考えるソーシャルメディアの活用方法は、ソーシャルメディアに馴染みのない世代には考えることはできません。ソーシャルメディアを論理的に知ることは自分達の武器になります。

開志専門職大学

高校生の間にやっていた方が良いことはなんでしょうか?

山田智恵

やはり、自分が本当にワクワクすることが一番の原動力になると思います。その想いに耳を傾けて、やりたいことを見つけて欲しいですね。

山田智恵

みんなが反対しても自分がカッコ良いと思うのなら突き進んで欲しい。自分の勘を信じて。それは今の自分の課題でもあります。

開志専門職大学

やはり、カッコ良いは大切?

山田智恵

はい。損得とか、『こっちの方が安全かな』と思ったことは後から変わります。でも、自分が「カッコ良い」と感動したことは後になっても変わりません。

山田智恵

私自信、若いころに感じた感動は今も続いています。なので、その想いに自分が従う方が、確実なことだと思います。

開志専門職大学

ありがとうございました。

特別講師 山田智恵(やまだともえ)氏

株式会社ダイジョーブ CEO
大手ネット広告代理店である株式会社オプト ソーシャルメディア事業部部長と、NZのスタートアップ企業 シャトルロックジャパン株式会社の社外取締役も2016年3月まで務める。ユーザーコンテンツ活用市場を創造するために啓蒙活動から始め、1年半で各業界のリーディング企業を含む100社以上にサービス導入を実現。執筆した『インスタグラム・マーケティング入門』(金風舎)『できる100の新法則Instagramマーケティング』(インプレス)は、いずれもAmazonの複数カテゴリーにおいて1位を獲得。2016年に株式会社ダイジョーブを設立。ソーシャルメディア・マーケティング支援を行っている。
慶應義塾大学大学院 経営管理研究科卒(MBA)

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